アイドルユニット「AKB48」がフォトアルバム販売に、7年も先の2015年のイベントチケットを景品に付けたことに対し、専門家が景品表示法違反(有利誤認)の可能性を指摘している。アルバム制作側は「違法ではない」としているが、ポスターの景品商法が物議をかもしただけに、改めて論議を呼びそうだ。
7年後のユニット存在に疑問の声
アルバム申し込み終了を伝えるAKB48公式サイトのページ
AKB48(エーケービーフォーティエイト)が販売したのは、結成2周年を記念した「スペシャルフォトアルバム」。AKB48の公式サイトで2008年1月29日、発売が発表された。それによると、オールカラー120ページのアルバムには、私物も含めたメンバーの女性44人の写真が掲載され、チーム別集合写真ポスターなども入っているという。
限定2000冊で、若い世代に支持されるアイドルの写真集としては、5万400円とかなりの高額だ。1冊1冊シリアルナンバーが入っており、表紙にメンバーの直筆サインがされ、購入者の名前入り別プリントが挿み込まれるという。活動拠点としている「秋葉原AKB48劇場」で指定日に受け取る場合は、メンバーが直接購入者に手渡しし、2ショット撮影までするという手の込みようだ。アルバムを制作したAKSによると、まだ発送はしていないものの、完売したという。
ところが、このアルバムに、2015年12月8日に開かれる予定というイベント「AKB48劇場オープン10周年祭」の招待券を付けるとしたため、ネットで話題になった。2ちゃんねるでは発売当時、7年後のイベントチケットだけに、
「メンバーがほぼ全部入れ替わってる可能性大 入れ替わりが無かったらそこそこいい年こいてる状態に」「10周年なんか迎えれるわけないのにな」「株で言ったら、おもいっきり空売りしとくべき銘柄を全力信用買いするようなもんじゃないか、、、、」
といった疑問が相次いだ。
公正取引委員会の消費者取引課によると、商品に必ず付いてくる総付景品は、景品表示法上、商品価格の20%までOKだという。アルバムの場合、5万円以上するため、チケットに想定される代金が1万円強まで許容範囲になるが、チケットでそこまでの高額は考えにくい。
アルバム制作側は「違法ではない」
ところが、旬が勝負のアイドルユニットだけに、7年も先のイベントが本当にあるのかが問題になる。同課によると、一般的に、架空のものや反故にされる可能性のあるものは、景品表示法違反(有利誤認)の不当表示になる疑いが強い。
消費者法が専門の村千鶴子東京経済大教授は、場合によっては、チケット付きアルバム販売が、景品表示法違反になる可能性を指摘する。
「顧客層に、どう受け止められるかがポイントです。18年前、白夜の北欧をうたったパック旅行が販売されたとき、公取は、一般客の常識から見て、1年に1週間程度しか見られない完全な白夜を見られると誤認するとして、旅行会社に排除命令を出しました。チケットの場合、若い子たちの未熟な常識につけ込んだあくどいものなら、有利誤認の不当表示になります」
イベントの実現可能性の問題として、どんな会社が手掛けているかにもよるという。「例えば、NHKとベンチャー企業では、イコールではありません」。さらに、チケットを商品と考え、単独では売れないものを、売れるものと一緒に売る抱き合わせ販売に当たる可能性も考えられるという。この販売方法は、独占禁止法違反になる。
チケット付きアルバムを手掛けたAKSは、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。
「AKB48 2nd Anniversary スペシャルフォトアルバムに含まれる『AKB48劇場オープン10周年祭』(2015年12月8日開催予定)招待券ですが、本体価格の中に含んでおりますので、景表法には抵触するものではございません。また、抱き合わせ販売でもありません。現状の劇場公演のチケット同等3,000円の価値のものと考えており、仮に、本フォトアルバムのベタ付け景品と捉えても、本体価格48,000円(税抜)の20%が上限ですので、問題ないものと認識しております。尚、10周年祭ですが、もちろん開催を予定しております。仮に、2015年12月8日を迎える前にAKB48の解散が決まった場合は、そのチケット代に見合う価値のあるメモリアルグッズをフォトアルバム購入者の皆様にお送りしたいと考えております」