MSソフト「技術情報公開」 ソフト業界は「単なるパフォーマンス」

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互換性のあるソフトは、そう簡単に開発できない

    国内に目を向けても、否定的なコメントが聞こえてくる。例えば、MS社の「オフィス」の互換性を持たせた製品「キングソフトオフィス」を販売している「キングソフト」の廣澤一郎社長は、こう話す。

「ソースコードも公開されないようですし、業界にはあまり影響はないのではないでしょうか。多少情報公開されたからと言って、互換性のあるソフトは、そう簡単に開発できるものではありません。例えば弊社では、MS-DOS(ウィンドウズの前の世代のOS)の時代から20年の開発の下積みがあって初めて現在の製品があるんです。個人的には、今回の発表は『(独占禁止法対策の)パフォーマンスの域を出ないのでは』という印象です」

   いわば、「情報があったところで、一朝一夕に開発はできない」との見方だ。

   MS社が言うように、「これまでよりは開発しやすくなる」ということは言えそうだが、その効果が現れるまでには、しばらく時間がかかりそうだ。

   一方、ジャーナリストの佐々木俊尚さんは、

「マイクロソフトの今回の決定は英断で、もっと早くAPIの公開を促進してオープンアーキテクチャ化をさらに推進しておけば、Windowsを中心としたソフトウェア文化がもっと高度化したかもしれないのに、という気持ちにはなります」

と話し、今回の決定に対して一定の評価をしている。しかし、MS社がグーグルとの戦いを繰り広げていることについては

「このAPIがいまどのような影響を与えうるかと言えば、影響は意外と少ないかもしれません。とりあえずは、マイクロソフトがソフトウェア分野における独禁法違反を回避することは可能になるでしょう。しかしクラウドコンピューティングのような手法でソフトウェア市場を『無力化』させているグーグルとの戦いには、今回のAPI公開は何ら役には立たないといえると思います」

と、影響はほとんどない、との見方をしている。

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