「OSの内容がブラックボックスだ」として批判を浴びることもしばしばの米マイクロソフト(MS社)が、一部ソフトの技術情報を広く無償公開する、と発表した。MS側は「開発者にとって開発がしやすくなるように」と話すが、ソフト開発会社からは「多少情報公開したぐらいでは変わらない」との声も聞こえてくる。
米国では「業界は『様子見』のスタンスだ」
スティーブ・バルマーCEOは「大きなステップ」と強調(07年11月撮影)
MS社が2008年2月21日(現地時間)発表した内容によると、提供されるのは、基本ソフトの「ウィンドウズ・ビスタ」や、表計算ソフト「オフィス2008」の「API」と呼ばれる技術情報で、各製品の将来のバージョンも含まれる。これまでは、APIはライセンス料を支払った特定業者にしか提供されてこなかったが、今回の措置で、関連するソフトを競合他社や一般のソフト開発者が開発しやすくなる、とされる。
スティーブ・バルマーCEOも、
「(今回発表された)これらのステップは、私たちの商品と技術についての情報をどのように共有するかについて、大きな変化で、重要なステップであることを示している」
と、今回の措置の意義を強調している。
その第一歩として、ウィンドウズとMS社のサーバープログラムがどのように通信しているかを説明した文書3万ページ分をMS社ウェブサイトに公表、具体的な取り組みを進めていきたい考えだ。
MS社日本法人の広報部によると、プログラムの根幹にあたる「ソースコード」までは公開されず、仕様書などの技術資料が公開される。日本語化については「今後の検討事項」と話している。
では、今回の措置が業界に与える影響はどうなのか。オープンソース型のOS「リナックス」を推進する「リナックス財団」の事務局長(executive director)を務めるジム・ゼムリン氏は、ニューヨーク・タイムズに対して
「(各地で起こりつつある法的)規制や競争で、マイクロソフトはビジネスのやり方を変えざるを得なくなるだろう」
とのみコメント。同紙では、「業界は『様子見』のスタンスだ」と、現在の状況を評している。