トップがCO2削減目標を「宣言」 松下のようなケースは増えるのか?

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   地球温暖化防止への取り組みを「最重要課題」と謳っている企業が増えている。「パナソニック」に生まれ変わる松下電器産業は、2007年10月に発表した中期経営計画「GP3計画」のなかで「二酸化炭素(CO2)の排出量削減」を新たな経営指標に据えた。大手企業の多くはホームページ上で「環境経営」について、その考え方や具体的な取り組みを示しているが、経営トップが目標値を「宣言」して取り組む松下電器のようなケースはまだ少ない。

地球規模で戦う「グローバル企業」に、CO2削減は欠かせない

   社名を「パナソニック」に変更し世界ブランドをめざす松下電器産業が「CO2の削減」を経営指標のひとつに据えたのは、世界的な問題となっている「地球温暖化の防止」への取り組みを抜きにしては「グローバル企業」として世界に受け入れてもらえないと判断したからだ。

   松下グループは07年10月に、商品・モノづくりでのCO2削減を打ち出した。生産活動におけるCO2削減を3年間で30万トン減らすことをうたった中期経営計画「GP3計画」を、現在走らせている。

   こうしたCO2削減などの取り組みを経営の「根幹」に据えて、重要課題に位置づける企業は増える傾向にある。企業のIR活動に詳しい、大和インベスター・リレーションズは「まだIR活動としてはみていないので、数はわかりません。しかし、(経営指標に取り入れていく)傾向にあるのは確かでしょう」(広報部)と話す。

   日本インベスター・リレーションズ協議会は、健全な財務状況や高収益体質、株主価値の向上などは言うに及ばず、「企業は新たな価値を創造する必要がある」とみており、新機軸を打ち出すのに一番注目されるテーマが「環境」だと指摘する。

目標値を明確に定めることに対する疑問も

   ただ、経営トップが「宣言」して取り組む松下電器のようなケースはまだ少ない。日本IR協会は、「(実際の取り組みでは、企業間の)温度差はかなりあると思います」と話す。ホームページに掲載されている「環境経営」と、松下電器の経営指標とする取り組みとでは、「(IR説明会などの場で)情報が開示されなければ、それだけで『どうなっているのか』となるし、株主などの目が厳しくなります。(経営指標にするということは)実行力において、そもそも取り組みのスタンスが違ってきます」としている。

   一般的に、日本がCO2排出量を1990年度比マイナス6%とする京都議定書の削減目標の達成がむずかしいとされるのは、日本のCO2排出量を抑える環境技術が優れていて、水準がすでに低いことにある。それもあって、「目標値を明確に定めるのを嫌がる」のだそうだ。

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