落札を一般競争方式にすべきだったの声
関係者によると、「もしもしホットライン」と「KDDIエボルバ」には、ここ5年ぐらいは、厚労省や社保庁の課長補佐以上の天下りは確認できていないという。社会保険庁企画課でも、「2社にOBはいません」と答えている。
とはいえ、なぜ落札を一般競争方式にしなかったのか。
同課では、「委託した仕事をきちんと分かってやってもらわないと困ります。ですから、価格面ばかりでなく、業者の能力や実績といった品質面も合わせてみる必要があると判断しました」と説明する。
品質面が重要なら、派遣職員でなく、社会保険労務士といった年金のプロを雇うべきではなかったのか。実際、落札された時間単価は、プロでも雇えるという価格だからだ。
これに対し、同課では、「この業務は、電話での問い合わせに対し、年金全般を知っていなければいけないわけではありません。(特別便についてではない)『ねんきんダイヤル』には、スキルの高い人にお願いしています」と答えるのみだった。
前出の関係者は、
「高度の専門性を求められる仕事ではないのなら、価格面だけで落札すべきだった。仕様書などで仕事の内容をきちんと示せば、価格が安いところでも十分だ。時間単価が同じなら、プロにやらせるに越したことはなかった」
と批判する。全国社労士会連合会の広報担当者も、「社労士がやるほどのものではない、ということではないと思います。プロがオペレーターの後ろについて対応する方が、業務が効率的でもあるからです」と話す。
ところで、社保庁では、舛添要一厚労相の肝いりで、近く社労士らのプロに業務委託し、電話ではなく対面での「特別便」相談を実施するという。3月末まで行う予定だが、電話相談が「高い」と批判されただけに、果たしてこの場合の時間単価がいくらになるのか注目を集めそうだ。