米南部のテキサス州に住むという59歳の米国人とみられる男性が、ユーチューブの投稿動画で、日本の調査捕鯨を全面擁護している。反捕鯨団体の妨害行為を非難し、悔しかったらテキサスのステーキ店で抗議しろ、と主張して、賛否両論のコメントが殺到している。
日本人が礼儀正しく丁寧なため、グリーンピースにやられる
米テキサスの男性がユーチューブに調査捕鯨擁護の動画を投稿した
この米国人とみられる男性は、「プロパガンダ・バスター」のペンネームで、2008年1月31日と同2月10日にユーチューブに調査捕鯨擁護の動画を投稿した。それぞれ、ユーチューブとニコニコ動画で日本語字幕版も作られた。欧米人からの珍しい擁護に共鳴した日本人が作成したものとみられる。
動画では、男性は自宅とみられる部屋でパソコンが置かれた机の前に座り、白い長袖シャツなどの姿でそれぞれ4分近くにわたって熱弁を振るった。動画のプロフィール欄では、西部劇で有名なテキサス風にカウボーイハットをした男性の写真が掲載されている。
2月10日の動画は、ユーチューブでは「テキサスの親父 グリーンピースに宣戦布告!」などと日本語訳された。その中で、男性は、「世界の馬鹿達が、日本の捕鯨でショックを受けているらしい」として、オーストラリア政府や環境保護団体のグリーンピースが調査捕鯨に反対している活動を紹介。グリーンピースの船が日本の調査捕鯨船に突っ込んでいるとした写真や動画を示したうえで、「こりゃ確実だよ!」などとまくし立てた。日本の調査捕鯨船が突っ込んできたという一部の見方は否定した。そして、ノルウェーやグリーンランドなどの捕鯨国もあるのに、日本ばかり標的にするのは人種差別ではないのかと怒ってみせた。
1月31日の動画では、鯨は水産物として日本の食文化になっていると紹介。なぜ、テキサスに来て牛肉を食べるステーキ店で反対運動をしないのか、と挑発した。さらに、ニューヨーク・マンハッタンでは、子牛料理が食べられるリトルイタリアの街がある、米アラスカでは原住民が捕鯨をしている、これらにも反対してみろ、と主張した。
グリーンピースなどが日本を標的にするのは、日本人が礼儀正しく丁寧なため、我慢して彼らを優しく取り扱うためだとした。男性は、反捕鯨の人たちをプロパガンダに染まっているだけとも批判した。
コメント欄には賛否両論がそれぞれ約200件
こうした挑発的な内容の動画に対し、コメント欄には賛否両論がそれぞれ約200件寄せられている。
2月10日の動画では、米国人という投稿者が早速、「日本の捕鯨船は沈めばよかった。鯨の殺害が続く中で、あなたの偏った興味に過ぎない」とコメントした。さらに、「あなたこそ、当てこすりのプロパガンダを流している」(「米国人」)「日本人はなぜ絶滅の危機にない食べ物に変えようとしないのか」(「オーストラリア在住のアジア人」)などと、批判が相次いだ。
しかし、次第に日本人と見られる投稿者から、「あなたは日本人のよりどころです!!」「オーストラリアよ、我々をその色で染めようとするな」といったコメントが来るようになった。米国人など外国人からとみられる擁護コメントも寄せられている。ここ数日は、日本語交じりで「クール!!」「テキサスのおっさんありがとー(゚∀゚)ノ」といった熱烈なコメントが相次いでいる状態だ。
一方、この話題を取り上げた2ちゃんねるのスレなど、日本のネット上では、男性の動画について冷静に見る向きもある。
「ありがた迷惑とはこのことだな」
「テキサス親父の釣りじゃないのかと疑っちまう」
などといった反応がそれだ。
この動画の主張について、グリーンピース・ジャパンでは、
「今回のビデオのように南極海での捕鯨活動を批判することが、人種差別のようにとらえられてしまい、本題である捕鯨の是非の議論とすりかえられてしまうことは非常に残念です。また、私たちの活動は非暴力に徹しており、危険な暴力行為を行うことはありません」
とコメントしている。