激しい首位争いを展開した2007年の自動車の世界販売台数は、米ゼネラル・モーターズ(GM)が1931年から続く首位の座を死守し、猛追したトヨタ自動車はわずかに及ばなかった。だが、経営再建中のGMと好業績が続くトヨタの勢いの差は明白で、2008年はトヨタが業界盟主の座につきそうだ。
2007年の世界販売はGMが前年比3%増の936万9524台だったのに対し、トヨタは6%増の936万6418台(子会社のダイハツ工業と日野自動車を含む)。その差はわずか3106台で、販売台数全体からすると0.03%にしか過ぎない。
GMは急拡大する新興市場で伸ばす
トヨタの世界一が確実視されている
あまりの僅差にGMが発表した直後、NHKが速報で「トヨタがGMを抜き、初めて世界一になった」という内容のテロップを流し、その後に「正確には世界一になっていませんでした」と訂正するおまけが付いた。GMの発表前にトヨタが速報値として四捨五入した「937万台」と発表していたことから「トヨタが世界一」と報じたらしい。
2007年の世界販売はトヨタとGMが最後までデッドヒートを繰り広げた。1~6月はトヨタの471万台に対し、GMは467万台とトヨタが半期ベースで初の首位に立った。だが、そこからGMが巻き返し、1~9月はトヨタの705万台に対し、GMは706万台と逆転し、そのまま逃げ切った。
GMが辛うじて首位を守った理由の一つは、好景気を背景に急拡大する新興市場での伸びが大きかった。2007年に中国でトヨタは前年比62%増の50万台を販売したが、GMは前年比18%増の103万台を販売し、トヨタを大きく上回った。ロシアでも2007年はトヨタが前年比52%増の16万台だったが、GMは倍増の26万台とリードした。
もう一つは在庫。2007年の世界生産台数はトヨタの949万7754台に対し、GMは928万5000台にとどまり、トヨタが初の首位となった。トヨタが生産で20万台以上もGMを上回るのに、販売ではGMを下回ったのは、トヨタは販売が好調で在庫に余裕を持たせる生産態勢をとっているのに比べ、GMは経営再建のため、在庫を圧縮し、販売に回したためとみられる。