「大事な記録はデジタル化して長く保存しよう」という人は多いが、コトはそう簡単には運ばない。「永遠に保存できる」の思いこみは禁物で、DVDの場合、どのメーカーを選ぶかで「寿命」に大きな違いがある。また、よく使われるUSBメモリにも実は同様なことがあるというのだ。
CDが登場して30年近くがたち、「CDは経年劣化するもの」という話は、そうめずらしくなくなったが、今後映像などを残すためにニーズが伸びそうなDVDについても、この問題はついてまわるようだ。
新品なのに「すでに寿命」と判定されたDVDもある
ニュースサイトでは、USBメモリが寿命を迎える様子が紹介されている
「財団法人デジタルコンテンツ協会」が03年から06年にかけて行った調査では、DVDのブランドによって、寿命に大きな違いが出てくることがわかっている。国内外の複数のブランドの製品に対して、劣化が進みやすい高温環境に置いて実験したところ、ある製品は「実験中に劣化が進まなかった」として事実上「寿命なし」と判断された一方で、「実験する前からエラーの割合が基準より多い」として、いわば「新品なのにすでに寿命が来ている」と判定されたものもある。
良好に保存するためには「日光に当てない」などの管理方法の他に、そもそも「どのブランドを選ぶか」が重要だとも言えそうだ。
一方、記憶媒体としてすっかり一般的となったUSBメモリについても、「寿命」の問題はある。USBメモリには半導体素子が使われており、これに書き込める回数に限界があるのだ。書き込めなくなった段階で「寿命」という訳だ。
ブログ形式のニュースサイト「GIGAZINE(ギガジン)」が2月4日に掲載した記事では、USBメモリが「寿命」を迎える瞬間を詳しく伝えている。同サイトに掲載された記事によると、USBメモリ内のZIP形式ファイルをPC内のHDDに戻して解凍しようとしたところエラーが発生、画像ファイルが正しく表示できなくなるなどの問題が発生している。
「通常の使用では、1年や2年では寿命は来ない」
一般論として、USBメモリの「寿命」はどのくらいなのだろうか。記事中に登場したUSBメモリの製造メーカーとは違うが、USBメモリではトップシェアの「バッファロー」に聞いてみた。同社の販売促進グループでは、「寿命」については、
「タイプによっても(書き込み可能な回数は)違いますし、一概には言えないのですが、『何万回』というレベルでは書き込みが可能、という想定です」
と話しており、メーカー側では厳密には決まっていない、との立場だ。仮に書き込み可能回数を1万回だと見積もって、1日5回アクセスするとすれば、寿命は5年半弱、ということになる。同社でも、
「通常の使用では、1年や2年では寿命は来ないはずです」
と説明している。寿命を超えた場合は、
「すぐにファイルが壊れるという訳ではありませんが、(アクセスが集中するなど)急激にストレスがかかったりすると、ファイルが読み取れなくなる可能性があります」
とのことだ。
なお、前出の「寿命が来た」USBメモリは、購入してから故障が発覚するまで10ヶ月半で、使用頻度は「2~3週間に1度あるかないか」。記事によると、このUSBメモリは「寿命」ではなく「単なる故障」と判定され、修理に出されたという。