橋下知事「給料半減して当たり前」
兵庫や北海道などでは、知事が職員組合の激しい抵抗を遮って給与カットを決めた。自治体財政に詳しい関西学院大の小西砂千夫教授は、その理由として、借金財政に対する市民の厳しい目の存在を挙げる。
「『民間ではリストラがあって大変なのに、自治体は優遇され、ムダな金を使い過ぎている。だから、職員の給与を減らせ』という市民の声が大きくなっています。自治体から見れば、国がむちゃをして地方の財源を減らしていると考えるのでしょう。しかし、市民は、借金までして支出することはないと厳しい目で見ています。こうした世論を受けて、借金が大きい自治体では、財源が減っている中で給与カットしか逃げ道がなくなっているわけです」
このような市民感情に最も敏感なのが、大阪府知事に就任した橋下徹知事だ。橋下知事は、2月6日の就任あいさつで、約450人の職員を前に、
「破産会社の従業員であることを厳に認識してほしい。民間では、給料半減して当たり前」
と先制パンチを見舞った。そして、就任会見では、「財政非常事態宣言」を行った。橋下知事は、その後トーンダウンしたものの、就任前は一時、借金を一切しない方針を明らかにしていた。
北海道では、高橋知事の判断で、一般職職員の給与が、都道府県では最大の7.5%カットになった。それも08年度から4年間続きだ。また、07年度まで、2年間の「緊急措置」として、10%のカットをしてきたばかりだった。
こうした事態に対し、全北海道庁労働組合連合会の安居誠副委員長は、J-CASTニュースに「約束違反で、とても遺憾です。住宅ローンを払うため貯金を取り崩す組合員も出るなど、生活設計は大変な状況になっています」と話した。ただ、「道民の間に、財政が厳しい状況なのだから当然削減はやむをえない、という声が強かったのも確かです。だから、苦渋の選択でした」とも明かした。
前出の小西教授は、
「来年度決算から施行される地方財政健全化法は、本当に悪い自治体だけが当てはまります。大半は厳しい財政状況ですが、給与カットなどを通じて借金のピークを過ぎることができれば、少し状況がよくなるでしょう。財政再生団体になる自治体は、都道府県には該当がないようです。市町村では、10未満程度だと言われています
と話している。