「商売仇に試合を許すのか」 大リーグ開幕戦に星野噛み付く

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巨人オーナーらはNHK報道に注文

   星野さんの日本プロ野球界批判は、言葉使いも熾烈だ。燃える男だからなのか、それとも本当に嘆くべき状況だからか。スポーツジャーナリストの岡田忠さんは、こうみる。

「そのぐらいきついことを言わないと分からないと思ったのでしょう。彼の場合、2球団で監督をしたばかりでなく、現在は阪神の経営者の一人です。だから、身に迫った危機感があったはずです」

   実際、07年シーズンは、当初からプロ野球界が揺れ続けた。まず、プロ野球人気のバロメーターとも言える巨人戦は、テレビの視聴率が苦戦を続けた。新聞各紙によると、開幕戦は集計データがある1972年以降で最低の13.1%。4カード目の広島戦では、早くも視聴率が1ケタ台に落ち込んだ。また、シーズン前には、松坂投手ら日本のスター選手が相次いでメジャーに流出した。さらに、西武の裏金問題の発覚が、人気低迷に追い打ちをかけたと言われている。

   こうした状況に、プロ野球の球団オーナーたちは、苛立ちを募らせたようだ。巨人の滝鼻卓雄オーナーは4月13日、東京ドームで行われたヤクルト戦後に報道陣に対し、NHKのメジャー報道について、「(中継が)ちょっと多すぎるのでは。もうちょっと日本のプロ野球もやってほしい」と注文をつけた。メジャーで松坂対イチローの対決が話題となる中、「イチローはどうなの?東京はどうかな。よく聞いといてね」と報道陣を逆取材もしていた。

   さらに、NHK批判は、オーナー会議にも波及した。各紙によると、都内のホテルで7月18日に開かれた会議では、口々に不満が炸裂。オリックスの宮内オーナーは、「メジャー数名の選手ばかりを取り上げるのは、極めて異常で不愉快だ」と語気を強め、中日の白井オーナーも、「日本人選手の動向を優遇しすぎ」と強調した。

   NHK批判の大合唱について、前出の岡田さんは、「足りない部分を人のせいにする論法で、筋違い」と指摘する。メジャー日本進出については、「近年、非常に急速にグローバル化が進んでおり、時の流れだと思います」と一定の理解を示したうえで、星野さんの思いを次のように代弁する。

「ただ、だからといって、日本の公式戦がないがしろにされるのはよしとしません。メジャーとの調整がしっかりしていなければ、いずれ従属する組織になってしまうでしょう。日本のプロ野球には、日本のよさがあります。負けないような営業努力をして、プロ野球の魅力を上げるしかありませんね」

   星野さんは、前出のQ&Aコーナーで、反語のような形でこう熱い思いを吐露した。

「わたしにいわせたら日本野球はもともとアメリカに真っ向勝負なんて考えていないのではないかな」
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