日本の調査捕鯨に対してオーストラリア政府などが反発している問題で、オーストラリア政府は「クジラの母子が捕獲される様子」を写したという写真を公開、「クジラの無差別殺戮なのは明らか」などと非難を強めている。これに対して日本側は、「感情的なプロパガンダ。クジラは親子ではない」と反発している。オーストラリア側も「専門家が確認した」と譲らず、泥仕合が続いている。
「オーストラリアのマスコミは大衆をミスリードしている」
オーストラリア紙は、捕鯨を「野蛮な殺戮行為」と非難している
オーストラリア政府は、国際捕鯨委員会(IWC)が指定した南極海のクジラの禁漁区(サンクチュアリ)での日本の調査捕鯨を違法だと主張しており、国際海洋法裁判所への提訴などを検討している。その材料収集の一環として、08年1月から税関の巡視船を出航させている。2月7日になって、オーストラリア政府は巡視船が撮影したというクジラ捕獲現場の写真を公開。写真には、2頭のミンククジラが船上に巻き上げられる様子が写っており、「母子」だと主張している。
ギャレット環境相は、
「これらの写真から、これがクジラの無差別殺戮だということは明らか。これをどんな方法にしろ『科学的だ』と主張することは、当初からこの問題につきまとっていた『見え透いた言い訳』を続けることだ」
などと激しく非難。ディーバス内相も
「国際法廷に提訴するための証拠を得た」
と述べた。
これに対して、船団を派遣している「日本鯨類研究所」は、同日、反論のコメントをウェブサイトに掲載、「オーストラリアのマスコミは、感情的なプロパガンダで大衆をミスリードしている」とした上で、
「クジラは親子ではない」
「ランダム・サンプリングが義務づけられており、捕獲されるクジラのサイズにはばらつきがある」
などと反論した。
「日本製品買うのやめました」といったコメント
オーストラリア側も黙っておらず、大衆紙「デイリー・テレグラフ」が2月8日に伝えるところによると、ギャレット環境相は同紙に対して、
「私たちは、(写真に写っていた小さいクジラは、大きいクジラの)子どもだという科学的助言を支持するし、トップクラスのクジラの専門家も、これを確認している」
と述べたといい、「クジラの親子が殺された」との見方を崩していない。同紙では、このニュースを
「日本側は、野蛮なクジラの虐殺について、ばかげた擁護をした」
という書き出しで報じており、ウェブサイトでは日本に捕鯨中止を求める嘆願書へのオンライン署名を求めている。コメント欄には、
「日本製品を買うのをやめました」
「日本の非人道的な行いには、言葉もありません」
といった言葉が並んでおり、日本側が主張する「感情的なプロパガンダ」は、当分終わりそうもない。