記者らのインサイダー取引で揺れるなか、NHKは民間の福地茂雄会長体制がスタートした。その矢先に経営委員会の菅原明子委員の所得隠しが発覚し、NHKには動揺が走った。不祥事が経営委にも広がったことで「こんなことで、監督監視の役目も担う経営委員会は大丈夫なのか」と言う声が巻き起こっている。
古森派と反古森派に割れている?
不祥事は経営委員会メンバーにも広がった
菅原氏の所得隠しは、社長を務める「菅原研究所」が07年1月期までの7年間に約1億5千万円の税金を支払わなかった。国税当局によると、追徴税額は重加算税を含めて約5千万円。家族名義で役員報酬を支払っていたが、家族に役員としての活動の実態がなかったという。
菅原氏は食や健康、現代病に関する研究で知られる。今回のNHK会長人事をめぐっては保ゆかり委員とともに経営委の古森重隆委員長の運営手法を「独断的」と批判。元時事通信解説委員長の藤原作哉氏を会長に推したが、藤原氏は毎日新聞監査役を務めており正式候補になれなかった。
「菅原委員の夫は歌手のすがはらやすのりで、長男はロックバンド「B-DASH」の菅原勇太。国会で"身内を紅白歌合戦に出してもらいたいと依頼した経営委員がいる"と追及された。古森委員長とは天敵だが、NHK内部には深く食い込んでいた」(NHK幹部)
古森委員長は菅原委員の所得隠しが発覚したさい「大変遺憾。職務外の行為とはいえ、視聴者の信頼を損ねるような事態はあったてならない」と痛烈に批判。「菅原委員が辞任したことで古森委員長もホッとしている。それまでお互い、醜聞探しに躍起になっていた」(同)
どこまで本当かはっきりしないが、こういうことらしい。菅原陣営が古森委員長の独断を暴露したところ、古森派は菅原氏の紅白歌合戦疑惑をリーク。記者らのインサイダー取引は菅原陣営が古森追い落とし狙って暴露、今回の菅原氏の所得隠しは古森派からの菅原つぶしを狙ったリークだそうだ。
「経営委は古森派と反古森派(橋本会長寄り)に割れていた。両陣営にはNHK幹部がそれぞれ側近としており、彼らが報道局の部下らを使って情報を集めている。幹部らは延命のためと相手陣営をつぶすため集めた情報を上に上げているようだ」(NHK担当記者)