派遣・パート社員を正社員化 銀行に広がる新人事制度

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   改正パートタイム法が2008年4月1日から施行されることに伴い、銀行が派遣社員やパート社員の正社員化や積極活用に乗り出している。りそな銀行埼玉りそな銀行は08年7月をめどに、正社員との処遇格差を少なくする制度を導入する。三井住友銀行が2000人の派遣社員を正社員として採用する方針を決め、みずほ銀行もパート社員の正社員化に向けた人事制度を準備中で、パート社員や派遣社員を「戦力化」する動きは地方銀行にも広がってきた。銀行界はパート社員や派遣社員の働く意欲を高める制度を整備することで、優秀な人材の確保と法令順守に対応する。

転勤の有無による処遇の格差もなくす

   りそな銀行と埼玉りそな銀行が労働組合に提案している新人事制度は、勤務時間などが柔軟なパート社員の働きやすさを残したまま、待遇面で正社員との「差」を縮めようという試み。本人の実力を重視し、人事評価を同一の内容にあわせて、転勤の有無による処遇の格差もなくす。両行は「制度の詳細は決定していません」としながらも、「優秀なパート社員に、もっと意欲的に活躍してもらうことで組織を活性化したい」という思いを語る。

   両行は05年2月にパート社員と派遣社員の「正社員雇用制度」を導入するなど転換制度を整えており、正社員との差別待遇の禁止をうたった改正パートタイム法にも対応する。

「人件費負担重くなる」と心配する声も

   銀行で行われているオペレーションや事務処理などの業務は、いまや約半数がパート社員や派遣社員でまかなわれている。取り扱っている帳票類は銀行によって異なるので「経験」が必要な仕事でもあり、また人の「お金」を扱うため、パート社員の採用でも身元が確かで、かつ銀行での勤務経験が重視される。結婚や出産・育児でいったん職場を離れた女性行員がパート社員や派遣社員として再雇用されて長期間勤務する人が多いのは、こうした事情からだ。「銀行(雇用している支店)が手放さないこともある」(大手地銀の幹部)という。

   派遣労働法には派遣社員を「3年」を超えて雇用すると、正社員化することが示されている。銀行としては雇用が長期化すれば正社員として採用しなければならなくなるし、そうであれば仕事になれた人に継続的に従事してもらうことで事務効率を上げたい。これに4月から施行される改正パートタイム労働法で、正社員との差別待遇の禁止が明確にされたのだから、あとは対応するしかない。

   あるメガバンクの幹部は「こうした人事制度の変更が(コストに)一番効いてくるんですよ。給与体系や研修制度の見直しにもかかってきますから」と、人件費の上昇を心配している。とはいえ、制度面の整備は優秀な人材を確保するためには必要で、相次ぐ新人事制度導入のアナウンスには「早めに優秀な人材を確保したい」という銀行の思いがにじんでいる。

   人材の争奪戦がはじまっていて、大手地銀の幹部は、「パートでも人材確保がむずかしくなってきた」と明かす。

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