「人件費負担重くなる」と心配する声も
銀行で行われているオペレーションや事務処理などの業務は、いまや約半数がパート社員や派遣社員でまかなわれている。取り扱っている帳票類は銀行によって異なるので「経験」が必要な仕事でもあり、また人の「お金」を扱うため、パート社員の採用でも身元が確かで、かつ銀行での勤務経験が重視される。結婚や出産・育児でいったん職場を離れた女性行員がパート社員や派遣社員として再雇用されて長期間勤務する人が多いのは、こうした事情からだ。「銀行(雇用している支店)が手放さないこともある」(大手地銀の幹部)という。
派遣労働法には派遣社員を「3年」を超えて雇用すると、正社員化することが示されている。銀行としては雇用が長期化すれば正社員として採用しなければならなくなるし、そうであれば仕事になれた人に継続的に従事してもらうことで事務効率を上げたい。これに4月から施行される改正パートタイム労働法で、正社員との差別待遇の禁止が明確にされたのだから、あとは対応するしかない。
あるメガバンクの幹部は「こうした人事制度の変更が(コストに)一番効いてくるんですよ。給与体系や研修制度の見直しにもかかってきますから」と、人件費の上昇を心配している。とはいえ、制度面の整備は優秀な人材を確保するためには必要で、相次ぐ新人事制度導入のアナウンスには「早めに優秀な人材を確保したい」という銀行の思いがにじんでいる。
人材の争奪戦がはじまっていて、大手地銀の幹部は、「パートでも人材確保がむずかしくなってきた」と明かす。