世代交代が注目されたメガバンク、みずほフィナンシャルグループ(FG)のトップ人事が米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波で凍結されそうな雲行きだ。FGトップの前田晃伸社長(63)=旧富士銀出身=と傘下のみずほコーポレート銀行(CB)の斎藤宏頭取(63)=旧日本興業銀出身=がともに就任から6年の節目を迎えることから、若返りが予想されていた。しかし、サブプライム関連で08年3月期に1700億円にものぼる損失を計上することになったうえ、傘下のみずほ証券と新光証券の合併が延期に追い込まれるなど経営失態が続いたため、首脳の間では「今、交代をすれば、引責辞任と受け取られかねない」(関係筋)との懸念が浮上、みずほ銀行(BK)の杉山清次頭取(60)=旧第一勧業銀出身=も含めて3トップが留任する方向になったという。ただ、トップ人事の先送りは経営の停滞を招く懸念もある。
引責辞任のレッテルを嫌う?
みずほFGの人事が凍結されるとの観測も浮上している
グループ関係者によると、トップ交代反対の急先鋒はCB頭取の斎藤氏で、「『引責辞任』のレッテルを貼られること極度に嫌がっている」という。実際、みずほのサブプライム損失の大半はCB傘下のみずほ証券によるもので、新光証券との合併延期も加え、通常なら斎藤頭取の経営責任が問われてもおかしくない。
しかも、斎藤頭取は「2008年にトップ交代がある場合も、頭取職は子飼いの旧興銀のエース、佐藤康博副頭取(55)に譲るとしても、自らはCBに会長職を新設し、経営ボードに残るつもりだった」(みずほOB)とされており、そうだとすれば、今年のトップ交代を受け入れ難いのも理解できる。サブプライムショックが続いている以上、仮に引責辞任との批判が高まらなかったとしても、会長職に就く思惑はあきらめざるを得なくなるためだ。