「松下一族」にも根回し、了承を取る
ただ、社名変更という最後の「聖域なき改革」は2006年に就任した大坪社長に引き継がれた。大坪社長07年末、創業家の松下正治名誉会長と松下正幸副会長に説明し、その場で「松下の発展につながる」と了承を得た。正治氏が社長を退いた77年以来、創業家出身でない社長が5代続き、社内では「松下の威光」も薄れたとされるが、大坪社長は細心の注意を払って手順を踏んだ。創業90周年を迎えた08年、松下は「第2の創業」とも言える大きな決断に踏み切った。同時に2009年度の経営目標として「売上高10兆円」が掲げたが、社名変更を機に松下が目指す「グローバルエクセレンス(世界的優良企業)」に羽ばたけるかを問われることにもなる。