「製品回収に至るまでの事案か分からなかった」
JTは、中毒情報をいつ知り、なぜ対応が遅れたのか。J-CASTニュースが広報担当者に取材すると、初めて知ったのは、1月4日だったと明かした。
「千葉市内のケースは、4日午後5時ごろに、ギョーザを販売した生協から『召し上がったお客様の気分が悪くなった』と伝えられました。弊社でも、同じ製造日の同じ製品を外部機関に検査してもらったところ、異状がありませんでした。そのときは、有機リン系農薬による中毒情報は聞いていません」
そして、1月5日発生の兵庫のケースは、7日になって、JT子会社を所管する東京都の品川区保健センターから知らせを受けたという。その際は、千葉のケースのように再検査せず、輸入当時の自主検査の結果を同センターに報告するだけに留めた。その後、センターや兵庫県に問い合わせても原因が分からず、「製品回収に至るまでの事案か分からなかった」と説明した。
JTによると、最終的に対策が必要と動き出すようになったのが29日だった。午前中に千葉県警から市川市のケースで捜査しているとの連絡を受け、兵庫県への問い合わせで同県警の捜査も知ったという。自主回収は警察などの記者会見が行われた30日と対応が遅れたことについて、「そのときになって初めて有機リン系農薬の情報が分かった」と釈明している。
論議になっている株価の動きについては、広報担当者は、「市場が決めることなので、コメントは差し控えさせていただいています。インサイダー情報などについては聞いていません」と答えた。
市場関係者は、どうみるのか。国際金融アナリストの枝川二郎さんは、こう話す。
「JTが主に販売しているたばこは、何が起きようとも吸う人は吸います。だから、普段は非常に株価が安定しています。最近、世界や日本で株価が下がっているといっても、誰かが中毒情報を知って売ったと考えられないことはないですね。ただ、株価の急落だけでは、何とも言えません。長い間情報が投資家に公開されなかったため、憶測や疑念を生んだのかもしれませんね。公表が遅れたのは、株式市場への影響ばかりでなく、消費者への影響を考えても、問題だと思います」