約10年ぶりに岡田武史監督(51)が指揮を取るサッカー日本代表の初戦はさえなかった。"注目の一戦"のはずなのに、国立競技場はガラガラ状態。それと対照的に、ハンドボール北京オリンピック予選のチケットは完売。人気が振るわないサッカーと人気急騰中のハンドボールの試合が偶然にも同日同時間帯に組まれ、明暗を分けた。
土曜日なのに、たったの3万7千人
2008年1月26日に国立競技場で行われたキリンチャレンジカップ「日本対チリ」戦はスコアレスドローに終わった。07年11月にイビチャ・オシム監督が脳梗塞で倒れ、急きょ代表監督に就任した岡田監督だったが初陣を勝利で飾ることはできなかった。
試合は、前半戦はほとんど見せ場がなく、後半は大久保嘉人選手(神戸)を投入後に好機はあったが、決定力不足は相変わらず。19歳の内田篤人選手(鹿島)が右サイドバックに"大抜擢"されたが、サイド突破などでの見せ場はなかった。岡田監督も試合後の記者会見で「結果を出したかった」と述べている。
サッカー評論家で、オシム監督時の日本代表を「最近の日本代表としては、最もレベルの低いチーム」とまで酷評していたセルジオ越後氏は1月27日の、ニッカンスポーツのウェブサイト内に設置された自身のブログで、岡田監督の初戦について、
「寒~い(内容)、低~い(レベル)試合だった。岡田監督に期待し過ぎていたのかもしれないが、考えてみれば、メンバーも内田以外はオシム監督時代と同じ。監督が代わってもサッカーは変わらなかったようだ。監督が代わっても強くならないのは当然といえば当然か」
とやはり厳しい評価。一方で、「次が岡田監督の開幕戦と思って期待したいね」とも述べており、まだまだこれからといったところなのだろう。
しかし、試合内容以上に「寒~い」のは、「岡田ジャパン」の人気のなさだ。
国立競技場は約5万人を収容するスタジアムだが、"注目の一戦"を見に足を運んだ観客は、土曜日なのに、たったの約3万7千人。同じ初陣で、同じ国立競技場でも、イビチャ・オシム監督の場合は、4万8千人とほぼ満員(06年8月)。しかもこの試合は平日の水曜日に開催された。岡ちゃんの初戦は、あまりも悲しい「ガラガラ」ぶりだった。
日本サッカー協会の川淵三郎会長も試合後の囲み取材で、
「このチームをグラウンドに行って見て、結構面白いという風にならないと、お客さん満杯にならないよってことを選手自身が是非感じてほしい。次の試合は点を取って快勝して欲しい」
と漏らしている。
2008年1月30日に開かれる「次の試合」にはボスニア・ヘルツェゴビナと対戦する日本代表。しかし、試合のチケットの販売はやはり芳しくないようで、1万枚以上が売れ残っている模様だ。「面白い」試合をできなかった日本代表にはあまりにも厳しい現実。
ハンドボール韓国戦チケットはわずか40分で完売
一方、人気沸騰中なのがハンドボール。「中東の笛」と呼ばれる不可解なジャッジで敗戦に追い込まれたが、北京オリンピック予選のやり直しが決まり、日本代表男子の試合「韓国戦」はサッカー日本代表のボスニア・ヘルツェゴビナ戦と同日同時間帯に行われる。
日本ハンドボール協会が1月25日にチケットを販売したところ、男子韓国戦の約6000枚はわずか40分で完売。アリーナS席に至っては、1分もかからずに完売したという。女子韓国戦のアリーナ席も完売した。
また、「生中継」にも各メディア臨戦態勢のようで、NHKは衛星第1で男子女子ともに生中継するほか、同総合でも録画映像を放映する。
ニッポン放送は、当初はサッカー日本代表のボスニア・ヘルツェゴビナ戦を中継する予定だったが、ハンドボールの「再選」が決まると急きょ予定を変更。1月30日はハンドボールの試合が終わり次第、サッカー日本代表戦の生中継を行うことにした。
ニッポン放送の担当者は、J-CASTニュースに対して、
「注目を集めているもの、旬のものをお届けしようということで、ハンドボールを中継することになった」
と話している。