「急性受動喫煙症」になった男性社員が会社に分煙対策を要望したところ、会社は「タバコがダメならば、別の職を探したほうがいい」と、その男性社員をクビにしていた。男性は2008年1月24日に解雇の無効と給与の支払いを求める訴えを札幌地裁滝川支部に起こした。
地方の小さな会社では「解雇」は相当あるはず
この男性は07年1月に鉄骨工事業の道央建鉄(北海道滝川市、従業員数26人)に入社。パソコンを使った鉄骨や図面の検査を担当していたが、入社直後から頭痛や吐き気、不整脈などの症状が出た。病院で診断を受けると07年5月に「急性受動喫煙症」と診断され、会社に分煙対策を要望した。直属の上司は受動喫煙で病気になったことを、
「オマエの頭の方を先に検査しろ!」
などと取り合わなかったのだという。しかたなく男性は滝川労基署に相談。労基署は同8月に同社に対して改善指導をしたが、充分な分煙対策は取られず、男性の症状は悪化。会社側は男性の配置転換を決めたが、それを男性が受け入れなかったため、07年11月に解雇された、というもの。
この男性の弁護を担当する黒木俊郎法律事務所の塚原成佳弁護士は、J-CASTニュースの取材に対し、
「受動喫煙で解雇、退職というのは、今まで表に出なかっただけで、相当数存在している問題だ。殆どが泣き寝入りしている状況であり、この裁判をきっかけに毎日苦しんでいる人達が立ち上がれるきっかけになればと思っている」
と話した。こうした問題は特に地方の小さな会社に多く、いくら小さな会社でも喫煙ルームを設けることが会社としての最低限のモラルなのだそうだ。