トヨタ、日産も低価格車に参入
トヨタ自動車が間もなく車両開発に着手する「エントリーファミリーカー(EFC)」はインドやブラジルでの販売を想定しており、価格目標は70万円から80万円程度と見られている。日産自動車もこれまで造ったことがないこうした分野に参入を計画。連合を組むルノーはラテンメーカーの特徴として昔から小型車を得意としており、そのノウハウも参考に100万円を下回る商品を10年までに市販する。カルロス・ゴーン社長は「世界中で販売する」と表明、日本国内にも導入する。GM、フォードも相次いで低価格車の開発計画を明らかにしている。
インドを震源とする低価格車戦争は、世界に広がる様相だ。これは燃料高や温暖化防止の機運とも無縁ではない。さらに、自動車販売の不振に直面する日本では「車にこだわる層とは別に、とにかく安くて移動の足になればそれでいいというお客は確実に存在する」(大手メーカー幹部)という流れもある。
一般に自動車の利益率は高額車ほど高い。つまり台当たり利益は車両価格の上昇につれて二次関数的に高まる。この図式では低価格車一辺倒になればメーカーの経営は厳しくなる一方だ。かといって高額・高性能な車に血道をあげて生き残れるメーカーは世界的に見てごくわずかに限られる。いかに低価格車の商品魅力と収益性を両立し、ライバルより高く多く売れるなど有利に事業を展開するか、世界中のメーカーにとって大きな関心事になっている。まず注目されるのは08年後半に年産25万台の工場で生産されインド国内で売り出されるナノ単独の収益が成立しているかどうかだ。