「検索の新時代の幕開けです」――こんなアナウンスで始まったのは、中国の検索エンジン「百度(Baidu)」日本語版の本格サービス開始の記者会見だ。「百度」は2007年3月からβ版サービスをすでに開始しているが、その時は画像検索で「わいせつ画像」が大量にヒットすることが国内ネットユーザーのあいだで話題になった。本格展開が始まっても、その「威力」は健在のようだ。
中国の検索最大手・百度は2008年1月23日、日本語版サービス「Baidu.jp」を本格展開すると発表した。日本語版サービスは、β版として07年3月から展開されていたが、同日から「ウェブ検索」「画像検索」「動画検索」に加え、新たに「ブログ検索」機能を追加した。
さらに、β版では中国版と同様、トップページは検索窓だけの画面だったが、日本人の嗜好に合わせて、キーワード、画像、動画、ブログのランキングを表示している。
日本では、ヤフー(Yahoo!)、グーグル(Google)が検索エンジンにおいて圧倒的なシェアを誇っているが、世界3位の百度は「世界最高峰」(同社)の検索技術・高速なトラフィック処理能力をアピールして、日本市場に乗り込む構えだ。
百度総裁兼CEOのロビン・リー氏はこの日行われた会見の中で、「百度に対する誤解がある」とした上で、
「著作権に問題があるから成長したという誤解があるが、中国でも著作権の訴訟はあり、我々は著作権を守っている。我々は不正にリンクが張られたら、すぐに外す」
などと主張。
07年10月にフィルタリング機能を追加
この日会見に出席した百度の役員一同
「商業主義」との「誤解」についても、「中国で75%のトラフィックシェアを獲得したのはユーザーをサポートしているから」とし、あくまでユーザーのニーズに沿った運営をしていることから成長した、と述べている。日本語版についても、「2010年まで、日本での収入はいらないという考え」「あくまでユーザーベース」(舛田淳取締役)としており、まずは日本国内ユーザーのニーズや評価を推し量りながらサービスを拡充し、2010年から広告ビジネスを本格展開する構えだ。
07年3月の「百度」β版スタート時には、「画像検索」に、不適切な検索結果を制限するフィルタリング機能がついていなかったため、「わいせつ画像」などの画像がたやすく検索できる状態だった。そのため、日本のネットユーザーのあいだでは「エロユーザ狙いか」「すごい」といった声が上がり、「わいせつ画像」検索の「威力」について大きな話題になった。
その後、同社は07年10月にフィルタリング機能を追加したが、「ヤフー」、「グーグル」がデフォルト(初期設定)の状態でフィルタリングが設定されているのに対し、現在の「百度」の「画像検索」「動画検索」でも、デフォルトの状態でフィルタリングが設定されていないまま。同サービスの検索エンジンの技術の高さとあいまって、高速で「わいせつ画像」がヒットしてしまう有様だ。
同社の広報担当者は、J-CASTニュースに対し、「フィルタリング機能を付けているので、オンにするかオフにするかはユーザーの判断」と説明している。