地域によっては客の反応がよくないケースも
07年8月から約1割の台に1円玉を導入している名古屋市中区のプレイランドキャッスル記念橋南店の男性店長は、こう悩みを漏らす。
「外からも1円玉を持ち込まれる可能性があるので、随時警戒しているんですよ。ニュースなどで、4円玉に悪用される被害を聞いていますし」
同店では、対策として、人気の1円コーナーを出入り口が一つの中二階に設置し、1円玉の色を金に変えた。店長は、「メッキの質はよくなったので剥げる懸念は少ないのですが、金色の玉だと1個5円もします」と打ち明ける。玉作りの納期なども考えると、なかなか1円コーナーを拡充できないという。
1円台を導入した他のパチンコ店でも、対応に四苦八苦の様子だ。愛知県を中心にパチンコチェーンを展開する「めいほうぐるーぷ」では、玉を入れるドル箱の底にICチップを組み込んで、持ち出すとブザーが鳴るシステムを導入したり、ドル箱そのものを1円コーナーでは黒色にして4円コーナーと分けたり、などの対策をしている。
1円玉の色を変える工夫をしている都内のパチンコチェーンでは、「不正が報道されると、マネをする客が出てくるのが怖い」と戦々恐々としていた。
一方、1円パチンコそのものについても、その限界を指摘する声が出ている。大当たりが期待できないため、「ゲーセンと変わらないのでは」といった冷めた見方があるのだ。全日本遊技事業協同組合連合会でも、1円台の導入を各店に積極的に推奨していない。「店が利益率を上げるようにすると、玉が出なくなり、遊べる環境とは言えない」(広報課)からだ。都内ではまだ数少ないため、座れないぐらいの人気の店があるものの、地域によっては客の反応がよくないケースも聞くという。
同連合会広報課では、「パチンコのお客は、1円がいい人ばかりでなく、射幸性がいい人など様々です。ですから、多様性のある遊技環境が理想ですね」と話す。ただ、「悪貨が良貨を駆逐」しているような状況では、共存へのハードルはまだまだ高いようなのだ。