2位の住友商事グループがトップをうかがう
住友商事グループは三井住友フィナンシャルグループとオートリース事業の戦略的共同事業化策を打ち出し、2007年10月に住友商事グループの住商オートリースと三井住友フィナンシャルグループの三井住友銀オートリースが合併した住友三井オートサービスが誕生。また住友商事は同年9月、東京日産自動車の親会社である東日カーライフグループ傘下であったエース・オートリースの総株式数の70%を手にした。
エース・オートリースは、日産ディーラーである東京日産自動車のリース部門が独立したリース会社。エース・オートリースのリース商品は東京日産自動車だけが扱っているため、個人リース商品の利用者は東京中心に限られている。それでも個人リース保有台数は全国4位の実績を持ち、全国規模の大手リース会社と肩を並べている。
個人リース市場における保有台数1位はNTT系の日本カーソリューションズ、2位がオリックス自動車、3位が日産フィナンシャルサービス、4位がエース・オートリースとスバルファイナンス、6位が住友三井オートサービス、7位がGEフリートサービス。この7社が個人リースの大手。2~4位の差は近いとされ、住友商事グループとしては2位に位置している。
さらに1位の座に向けて住友商事は、住友三井オートサービスの子会社であるマツダオートリースの個人リース保有台数拡大を計画。マツダオートリースはマツダ系新車ディーラーにリース商品を提供しているが、法人リースが中心で個人リースは皆無に近い。そこでエース・オートリースの個人リース商品販売ノウハウをマツダオートリースに注入し、マツダ系新車ディーラーを通じて個人リース商品の販売量を増大させることを考えた。
グループ内のシナジー効果を有効活用する取り組みだが、そこにあるのは東京日産自動車の販売ノウハウだ。東京日産自動車は新車ディーラーの個人リース販売で先駆とされている。販売車種によって異なるが、東京日産自動車の新車販売台数に占める個人リース比率は、車種によっては20%以上になることもある。日産自動車は東京日産自動車の個人リースの販売ノウハウを、子会社の日産フィナンシャルサービスを通じて日産系ディーラーに展開させている。
この実績のある個人リース販売のノウハウが全国のマツダ店に普及することになれば、個人リース市場で住友商事グループが1位となるのは夢ではない。さらにリース事業には車両を所有するための資金が必要で、今後も大手リース会社が中小規模のリース会社を傘下に収める動きが進むとみられる。住友商事は住友三井オートサービスによる中小リース会社の吸収などを進め、需要の拡大が見込める個人リース市場で1位の座をグループで獲得する構想。個人リース市場が伸びる反面、リース会社による個人リース販売競争は企業再編も含めて激しさを増してきたようだ。