「NHKは危機管理ができていない」
ところが、話はこれで終わりではない。
ブログ「佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン」の08年1月18日付日記によると、07年3月に入ってから、カッパ株は不審な売買高の増加を続けていた。そこで、J-CASTニュースがその推移を調べると、3月2日金曜まで一日5万株台の取引だったのが、5日月曜に8万台に増え、その後も6日に10万台、7日に7万台と高い売買高が続いている。さらに、NHKのスクープが報道された8日は、17万台と前日より10万株も取引が増えている。インサイダーが発覚した3人の取引は5000株程度だったため、ブログの男性は「実際には単純計算で約50人以上やっていたことになる」と指摘するのだ。
もちろん、NHK職員のインサイダー以外の可能性も多分にある。「マスコミの人は間接的に内部情報を知るだけで、企業同士のM&Aには、投資銀行、弁護士などインサイダーがたくさんいます」とは、前出の枝川さん。実際、別の回転寿司チェーンの元会長は、カッパ・クリエイトを巡る内部情報を知って07年3月8日にカッパ株4000株を買い付け、インサイダー取引で金融庁から11月15日に課徴金44万円の支払いを命じられている。
とはいえ、枝川さんは、次のようにみる。
「50人もインサイダーがいるかはもちろん分かりませんが、怪しいと思われても当然です。NHKの知人は、『局内のみなが怒っている』と言っていましたね。この知人は、『数年前に不祥事で給料が下がって、そろそろ上がるかなと思っていたところに今回の問題が起きた。これでまた受信料不払いが広がれば、昇給が先延ばしになる』と嘆いていました。しかし、民間会社から見れば、NHKはきちんと危機管理ができていない印象を受けます。数千人の職員がスクープ原稿を見られたというのは、明らかにずさんですから。大きな企業の株売買なら不審な取引がなかなか発覚しにくいので、相当幅広くインサイダーをやっていた可能性がありますね」