NHK記者らが不正な取引をした回転寿司チェーンの株で、さらに不審な売買高の増加が見られることが話題になっている。今回判明した3人以外に、もっと関わっている職員がいるのではないかというわけだ。NHKは総務省の意向で報道関係全職員への調査を始めるが、その徹底を求める声が強まっている。
スクープ報道前にすでに取引が膨らんでいた
NHKは危機管理ができていないのか?
NHK報道局テレビニュース部制作記者(33)ら男性職員3人は、2007年3月8日午後3時直前、局内でスクープ報道を知って、カッパ・クリエイト株を多数買い入れていた。毎日新聞の08年1月20日付記事によると、その結果、同株の市場取引は、局内で情報が解禁された午後2時38分から同3時までに約1万5000株と、それ以前の午後2時15分からの22分間に比べて3倍にも膨れ上がっていたことが分かった。
3人が売買したのは、計約5000株。3倍に増えたことから単純計算すると、ほかに3人が計5000株をインサイダー取引した可能性があることになる。これはありえるのだろうか。国際金融アナリストの枝川二郎さんに、J-CASTニュースが聞くと、
「トヨタや東京電力など売り手買い手がたくさんいる効率的なマーケットは別にして、普通の企業では、売り手買い手が急に現れて売買高が変動するのは珍しくありません。ですが、カッパ株の動きを見ると、NHKにさらにインサイダーがいたというケースはありえますね」
と答えた。
毎日の記事によると、さらに不審な売買の動きが見られた。午後2時15分以前の22分間を見ると、約1万5000株もの取引が行われていたのだ。中日新聞の1月19日付記事によると、スクープは午後1時台に初稿が局内のニュース制作システム「5300」に入力されていた。このことから、職員の誰かがこの初稿を見て、株を売買していた可能性も考えられる。実際、インサイダーが発覚した3人のうち1人は、局内で情報が解禁される前に、複数回の買い注文を出していたと一部で報道されている。この1人は、初稿を盗み見したか、解禁前にも見られるスクープのタイトルを参考にしたかのどちらか、とみられている。
中日の記事によると、初稿はその後の電話取材によって午後2時30分ごろに大幅に書き換えられており、この1人がそれを見てさらに買い増した可能性が出ている。朝日新聞の1月20日付記事によると、発覚した3人は、勤務時間中の株取引を常習的に行っていたといい、今回のカッパ株でも3人で売買高の3分の1を占める取引をしていた。