「一度も通学することなく学士の資格が取得できる」。こんな触れ込みでスタートしたインターネット大学「サイバー大学」(福岡市、吉村作治学長)が、在校生620人のうち180人もの本人確認をしていないことがわかった。本人はなにもせず、他人に勉強させて大卒の資格だけ取る、といった不正行為が横行する恐れがあるわけだ。この中には既に卒業資格に関わる単位を得ている人もいる、という報道もあり、文部科学省は同大学に改善指導をする方針だ。
一度も通学することなく学士の資格が取得できます
吉村作治学長は会見で謝罪した(07年2月撮影)
「サイバー大学」は、ソフトバンクが71%を出資した日本サイバー教育研究所(福岡市)が2007年4月に開校した4年制の大学。すべての授業をインターネットで行い、パソコンとブロードバンド環境があれば24時間いつでもどこでも何度も繰り返して受講できるのが特徴だ。一般の通信制大学では「スクーリング」(面接授業)があるが、この大学は、
「スクーリングも一切ないため、一度も通学することなく学士の資格が取得できます」
などとしている。
文科省によると、新設大学は最初の卒業生を出すまで、大学運営に関する報告書を随時文科省に提出する必要がある。その書類から、直接面接も、パソコンに取り付けたカメラでの本人確認もしていない学生が多数いることがわかったのだという。
大学設置基準を満たしていないという疑いが出てきたため、同省は
「法的基準を満たしているかどうか、どのように指導していくか協議したい」
とJ-CASTニュースに話した。
そもそも、学生の本人確認がなぜできなかったのか。「日本サイバー教育研究所」広報によると、入学申し込みから授業、試験と全てインターネットで完結でき、登校する必要もないため、直接会う機会があるとすれば「大学説明会」くらいなのだという。同研究所は開校に際し、生徒のパソコンに取り付けたカメラで本人確認をする、と語っていた。しかし、同研究所広報はJ-CASTニュースの取材に対し、
「カメラに関しては、まだ全員に付いていない、という不備な状態です」
というのだ。