人が集まっているところには必ず、派手な衣装を身にまとうコンパニオンがいる--。まさにそんな感じだったのは2008年1月11日から13日までの3日間、幕張メッセで開催された「東京オートサロン2008」だ。東京オートサロンはカスタムカーに関する日本最大のイベント。カスタムカーとは、市販車をベースに内外装をドレスアップしたクルマ、エンジンや足回りの性能を強化することで市販車では考えられないくらいのパフォーマンスを引き出した改造車、オーディオ類を充実したクルマなどを指す。
出展者は自動車メーカーのほか、パーツメーカー、カスタムショップ、改造業者、学校など329者で、約600台が出品された。毎年1月に開催されており、今回は3日間合計で約25万人が来場した。
毎年入場者数を抑えて発表?
実は主役はコンパニオン?
この約25万人という数字、実はなんとも疑わしい数字。主催者である東京オートサロン事務局の公式発表によると、今回の場合は初日が47,629人、2日目が87,267人、最終日が114,236人の合計249,132人。ちなみに前回(昨年)が今回よりも65人多い計249,197人、前々回は前回よりも95人多い249,292人だった。毎年、同じ時期に、同じ会場で、同じ期間で開催されているとはいえ、あまりにも数字が近接しすぎてはいないだろうか。
各種イベントでは、より多くの人が集まった方がイベントとしての効果やPR効果が高まり、さらには次回以降に出展者に請求する出展料にも影響する。このため、主催者が入場者数を発表する際には、実数よりも水増しして発表されるケースが多い。しかし、東京オートサロンの場合は、どうやら、入場者数を抑えて発表している可能性があるようなのだ。
同じ幕張メッセで07年秋に開催された「東京モーターショー」に比べて「東京オートサロン」は、展示ブース同士の間隔や通路も狭く、また、車両展示台数も多い。幕張メッセそのものの収容人数は5万3,000人だが、これは同時に収容できる人数。コンサートなどと違い、人の流動(出入り)があるこうしたイベントの場合、瞬間的には5万3,000人を大きく超える人数が詰め込まれている可能性もある。こうした混雑ぶりの事実が明らかになると、所轄の消防署から入場制限などの指導が入ることになる。つまりは前年実績を大きく上回った公表することはしづらいわけで、次回以降への準備も含め、公式発表の来場者数も25万人以下に抑えているというからくりだと思われる。
「俄かカメラマン」が取り囲んで、ポーズをリクエスト
とはいえ、確実なところでは3日間で24万人を超える人が集まる大イベント。会場内は熱気がムンムン。こうした来場者の最大注目の的は、ど派手にドレスアップしたクルマでも、レーシングカー並みの性能を持つ改造車でも、大きな音を出すオーディオチューンカーでもない。実はこれらのクルマの脇に立つコンパニオンたちなのだ。
各出展者は目立ちたいという気持ち一心で、彼女たちに派手な衣装を与える。
極端に生地の使用量が少ないもの、スケスケのもの、不思議な構造になっているものなど、まさに色とりどり。彼女たちも、そんなことは百も承知の上でコンパニオンに応募する。
こうした派手なコスチュームのコンパニオンたちをプロ顔負けのカメラ機材を抱えた"俄かカメラマン"が取り囲んでおり、ポーズをリクエストする。中には彼女たちに親しげに話しかけるものもいる。そんな彼らに混じり、携帯電話を持った人たちも写メを撮る。コンパニオンと来場者との距離感が近いのが、東京オートサロンに人気がある最大の理由だろう。
言葉は少し古いが、いわゆる"カメラ小僧"が支える東京オートサロン。新車販売の低迷が続くが、こうした熱気が自動車関連消費の拡大に向くことはあるのだろうか。