最初から業界は「期待されるような品質は無理」といっていた
ところが、この「損紙24%」を古紙としてカウントすることが認められないことが判明。ここで「古紙40%」は実現不可能だということになるが、中村社長によると
「コンプライアンスよりも、(古紙)配合率を下げて品質を確保することを優先」
した結果、1996年用の再生紙年賀はがきから「偽装」が続いてしまった、ということのようだ。
この背景を裏付ける証言をする人もいる。08年1月16日放送の「ニュース23」では、91年から、郵政省(当時)で再生紙利用を検討した会議の座長を務めた福岡克也・立正大学名誉教授が、このように語っているのだ。
「40%~50%が古紙利用の限界かな、ということになって、その部分まで、研究会として報告したんです。(製紙会社から来ている会議メンバーは)相当苦情を言ってましたよ。『リサイクル率を上げることはよくない』『期待されるような品質のものはできない』と」
いわば、「古紙40%」は、製紙会社にとっては「無理筋」だった、ということも言えそうだ。
日本製紙以外には、王子製紙、三菱製紙、北越製紙、大王製紙の4社の「偽装」が明らかになっている。いずれも、「古紙の割合を高くすると、品質が低下する」ことなどを偽装の理由として挙げており、業界全体として「元々、不可能な条件での発注を引き受けていた」ということにもなりかねない情勢だ。