国内の新車販売の減少に歯止めがかからない。2007年の国内新車販売は前年比6.7%減の535万3645台と3年連続で減少し、1982年以来、25年ぶりの低水準に沈んだ。メーカー各社は新興市場の伸びを支えに好業績を記録してきたが、国内市場では販売戦略の練り直しを迫られている。
軽自動車も5.1%減と4年ぶりのマイナス
「GT-R」など高級車は健闘した
新車販売はピークだったバブル期の1990年(777万台)から約240万台減った。これは2007年のマツダや三菱自動車の新車販売台数にほぼ相当し、メーカー1社が消失した計算となる。
日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、登録車(排気量660cc超)の2007年の販売台数は前年比7.6%減の343万3829台。4年連続で減少し、1972年以来、35年ぶりの低水準。軽自動車(排気量660cc以下)も5.1%減の191万9816台と4年ぶりのマイナスだった。
新車総数の約3分の2を占める登録車は2007年10月、月間ベースでは28カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じ、11月も増加したが、12月は再びマイナスに陥った。10、11月に盛り返したのは、トヨタ自動車が夏から新車を相次いで投入した効果が大きかったが、12月は息切れし、新車効果が長続きしないことをうかがわせた。
低迷の背景について、自販連は、消費者の嗜好多様化▽賃金の伸び悩み▽人口の高齢化▽ガソリン価格の高騰――と分析している。とりわけ深刻なのは若者の車離れだ。若い世代は新車よりも携帯電話やインターネットへの出費を優先する傾向が続いている。
「レクサス」「GT-R」など高級車は健闘
例外的に健闘したのは高級車。2007年の新車販売ではトヨタの高級ブランド「レクサス」が前年比11.9%増の3万4803台と急増した。日産自動車が2007年12月、5年ぶりに復活させた高級スポーツカー「GT-R」も先行予約が約2700台と月間販売目標(200台)を大きく上回った。
ただ、高級車人気は一部の富裕層に限られ、広がりを欠いた。「GT-R」もクルマの「走り」にあこがれた中高年層の郷愁をかき立てたとみられ、若者の間では中心的な話題にはなっていないようだ。
08年明けの自動車業界団体の賀詞交換会でも国内市場の低迷に頭を悩ます業界首脳の姿が目立った。日本自動車工業会の張富士夫会長(トヨタ自動車会長)は「自動車市場を取り巻く環境は厳しい」との認識を表明し、2008年の新車販売も532万台と4年連続で前年割れするとの見通しを示した。
賀詞交換会の会場では「(従来の販売刺激策のように)モデルの数を増やしてもダメ。顧客が買いたい商品を(重点的に)投入する以外にない」(メーカー首脳)と販売戦略の抜本的な見直しが必要との声も聞かれた。