捕鯨船に劇物投げつけ侵入 「シー・シェパード」は「テロリスト集団だ」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   南極海で捕鯨調査にあたっている日本鯨類研究所(日鯨研)の調査船に、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」の活動家2人が侵入した。この団体は水産庁や日鯨研から「テロリスト集団」と名指しされている。日鯨研は2人の身柄を受け渡す意向を伝えているが、今度は逆に「シー・シェパード」側が「テロリスト集団(日本側)と交渉することに興味はない」などと突っぱねた。あまりに荒唐無稽な主張に、水産庁の担当者も失笑するほかないといった様子だ。

「日本人の死傷者は出ていないが、それはたまたまだ」

第二勇新丸に対して劇物を投げ込んだ「シー・シェパード」のボート(日本鯨類研究所提供)
第二勇新丸に対して劇物を投げ込んだ「シー・シェパード」のボート(日本鯨類研究所提供)

   反捕鯨団体「シー・シェパード」の大型ゴムボートが2008年1月15日、南極海で捕鯨調査に当たっていた「第二勇新丸」に接近、劇物を投げ込んだほか、船内に活動家2人が侵入したことがわかった。水産庁などによれば、酪酸と思われる液体の瓶を投げ込んだり、プロペラに絡めることを目的にロープを流すなどの妨害行為を展開したという。

   その後、「シー・シェパード」の豪国人と英国人の活動家2人が同船船内に侵入。暴力行為も想定されたことから、乗組員が一時的に活動家2名を保護し、両名を船内事務室に収容した。

   豪政府から早期の釈放を要請されたこともあって、日本鯨類研究所は、活動家2名を安全に戻すため、「第二勇新丸」近くにいる「シー・シェパード」の船などを通じて、「第2勇新丸」まで2人の身柄を引き取りに来るよう求めているが、08年1月16日夕方現在までに同団体側から応答はないという。

   水産庁遠洋課はJ-CASTニュースに対し、「シー・シェパード」のことを「テロリスト・グループ」とした上で、今回の妨害・侵入行為について「極めて遺憾。調査捕鯨活動は国際条約に基づく完璧に合法的なもの。妨害行為はやめていただきたい」と述べている。

   「シー・シェパード」は、反捕鯨環境団体「グリーンピース」から離脱したメンバーで1977年に設立。捕鯨船への過激な抗議活動で知られ、一部では「グリーンピース」よりも「過激」といった指摘もある。

   水産庁によると、07年2月にも調査母船「日新丸」に化学物質の液体入りの瓶を投げつけるなどして、乗組員2人に軽傷を負わせたほか、調査捕鯨船「海幸丸」をめがけて船ごと体当たりするなどした。また、ノルウェーの捕鯨船を沈没させた過去もあるという。水産庁は「これまでに日本人の死傷者は出ていないが、それはたまたまだ」と述べている。

「こういう団体のお得意のやり方ですよ」

   活動家2人の身柄が確保されたことについて、「シー・シェパード」は2008年1月16日に公式声明をホームページ上で発表。日鯨研から、2人の開放とともに捕鯨の妨害活動をしないように要求された、とした上で、

「人質を使って要求をしてくるというのはテロリズムの証で、シー・シェパードはテロリスト集団と交渉することに関心はない。人質は無条件に解放すべきだ」

という同団体代表ポール・ワトソン氏のコメントを紹介している。

   これについて水産庁遠洋課の担当者は失笑しながら、

「そんな要求するはずがない。2人を引き渡す際に安全を確保して欲しいとは言っているが、相手が飲みそうもない要求なんてしないです。こういう団体のお得意のやり方ですよ」

と話している。

   一方、豪州では2008年1月15日に連邦裁判所が、豪政府が国内法で南極海などに設定した「クジラ保護海域」での日本の調査捕鯨の差し止めを命じるという事態まで発生している。町村官房長官は2008年1月16日に「南極はどの国も領土主権を持たないというのが国際的なコンセンサス。誤った前提の判決は受け入れることはできない」とこれを批判したほか、水産庁遠洋課も同様の理由で「びっくりする判決で『そんなの関係ねぇ』といったところ。豪裁判所が自国民に対して要求するならまだしも、日本国民に対して要求するのはおかしな話。絶対に受け入れられない」と述べている。

姉妹サイト