2007年12月に全面的に解禁となった保険商品の銀行窓口での販売。当初は金融商品取引法の施行によって厳格化された銀行側の商品説明態勢が整っていないことや銀行と保険会社間の情報障壁の問題、保険業界の保険金不払い問題などがくすぶっているため「低調」ともいわれたが、生保業界では07年末から「窓販専用」の保険商品が登場していて、そうでもないようだ。一方、自動車保険の販売を目論んでいた損保業界は、販売体制などで銀行や信用金庫と折り合わず不調。早くも明暗が分かれている。
イオン銀行は「主婦」をターゲット
自動車保険の売れ行きが伸び悩んでいる(写真はイメージ)
イオン銀行は2008年1月7日から、AIU保険と共同で開発した「イオン銀行の女性医療保険」の販売を開始した。流通業から起こったイオン銀行らしく、主婦層をメインターゲットとし、女性特有のガンや子宮筋腫、甲状腺障害に保障内容を限定。保険料を契約年齢にかかわらず一律にし、入院日数や通院日数に応じた給付金をなくして診断時や手術時の一時金・給付金に特化したのがポイント。イオン銀行の「専売」で、銀行窓販のための商品の登場といえる。
三井生命は無配当低解約返戻金型定期保険「デュアルステージ」と進学保険「キッズドリーム」を投入して、三井住友銀行の窓口販売を開始。アリコジャパンは、新たに銀行窓販用商品として一時払い終身医療保険を開発、「プライムロード」、「ビーエルフォーエバー」として、1月末までに約25の銀行での販売(取り扱う金融機関によって名称が異なる)を予定している。
明治安田生命は1月11日から、三菱東京UFJ銀行の窓口で「投資型年金保険 希望のたまご」を販売した。積立金額の運用成果(110%)を超すごとに基本保険金額(100%)を超える金額を「超過給付金」としてお客に戻すのが特徴。個人年金保険の販売はこれまでも可能だったが、同社は全面解禁を機に出遅れていた銀行窓販レースでの巻き返しを狙う。
12月に解禁された医療保険を中心に品揃えする銀行は少なくないが、販売している銀行側は、「(生保レディが訪問販売しているのに)保険商品をわざわざ銀行に出向いて買うお客がいるのか」(大手地銀の幹部)と、手さぐりの状況。一方の生保業界は商品の「わかりやすさ」をキーワードに商品開発を進め、とにかく販売先の銀行などの囲い込みに懸命のようだ。