無用な事業や失敗事業のリストラ求める圧力が高まる
翻って、他の大手生保はどうか。例えば、日生が展開する損保事業のニッセイ同和損保は旧大蔵省の生損保相互参入解禁に沿って、東京海上日動火災保険の生保参入に対抗して作られたが、日生の生命保険契約者からすれば何の利益にもならない存在だ。日生側は独自の損保商品の提供で契約者の利便性が増すというのだろうが、外資系も含めて損保会社が多数ある中、「生保の損保商品を買えてうれしい」という人が日生の契約者に果たしてどれだけいるだろうか。ニッセイ同和の業績が伸び悩んでいることもあり、日生の生命保険契約者からすれば、「経営不振の損保事業に回すカネがあれば、生保契約者の配当に回して欲しい」というのが本音。中国など海外事業の展開もしかりで、「日本の契約者から預かった保険料やその運用で得た利益を契約者に直接的なメリットがない事業多角化に回すことには矛盾があるのは事実」(大手生保幹部)。
これまで見過ごされがちだった問題だが、第一の株転はその「パンドラの箱」を開けたとも言える。このため、今後、日生など他の国内大手生保に対して、契約者から無用な事業や成功していない事業のリストラを求める圧力が高まることも予想され、波紋が広がっている。