「12秒の脇見は異常運転」 福岡3児ひき逃げ判決に疑問

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法の不備を指摘する新聞社説が相次ぐ

   一方、「判決は仕方がない」と受け止めるのが、日大大学院法務研究科の板倉宏教授。J-CASTニュースの取材に対し、「非常識な判決だという向きがあるのは分かりますが、事件では、異常な運転をしているという加害者の故意が立証されなかったということでしょう。危険運転致死傷罪は刑が重いので、法律の厳格な解釈や認定が必要ということです」と話した。

   脇見運転については、「100キロが出ているといっても、加害者は回避措置をしているといいますからね。あくまで脇見という過失が問題なのであって、異常に酔っていると言えるわけではありません」との見方を示した。

   各紙によると、死亡した3児の両親は、記者会見で悔しさをにじませながらも、「与えうる中での最高刑という点に裁判所の配慮を感じた」「危険運転罪には高いハードルがあると実感した」と比較的冷静な受け答えをしていた。

   ちなみに、愛知県の4人死亡飲酒事故では、名古屋高裁は07年12月25日、業務上過失致死傷罪を適用し懲役6年とした1審判決を退け、危険運転致死傷罪を適用して懲役18年を言い渡している。福岡市のひき逃げ事件でも、もし検察側が控訴すれば、同様な展開がありえるのだろうか。

   これに対し、板倉教授は、「愛知のは酒酔いしていて、正常に運転ができないというケースでした。今回は、そうと認定できないのではないでしょうか」と否定的な見方をした。

   この事件で法の高いハードルが分かったことで、その不備を指摘する新聞社説もいくつかあった。毎日新聞は、08年1月9日付社説で、法規定の弱点が露呈されたとして、「見直すべき時期を迎えたのかもしれない」と指摘した。さらに、「危険運転罪の見直し急げ」と9日付社説で訴えたのが産経新聞。「もっと弾力的に運用できるようにすべき」とした。
   前出の板倉教授は、

「殺人事件でも、3年の懲役刑を言い渡されることも多い。3人殺しても20年以上にならないこともあります。危険運転致死傷罪の適用基準を緩めれば、車だけ突出して刑が重くなることになります。刑の上限を10年にして緩めるという考え方もあるかもしれませんが、すでに昨年6月から自動車運転過失致死傷罪の適用が始まっています。福岡市のひき逃げ事件なら、懲役9年半ぐらいになるのではないでしょうか」

と話している。

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