伸び悩む3.5L車の販売 トヨタ大排気量車の販売拡大断念

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   2007年夏以降、大排気量3.5LのV6エンジン搭載車を柱のひとつに据えて国内新車市場を動かそうとしたトヨタ自動車。だがガソリン価格高騰の影響もあり、3.5Lエンジン搭載車の販売は低迷している。とくにトヨペット店の販売主力車種として2007年9月末に新規投入した「マークXジオ」の受注実績は目標未達が続きトヨタの自信を揺らがせた。そこでエンジン生産計画における3.5Lエンジンの生産比率も引き下げ、販売戦略での大排気訴求を12月で断念。マークXジオの宣伝内容も1月から変更するなど、トヨタはトヨペット店の販売戦略の転換に乗り出した。

受注台数のうち3.5Lの比率は1割程度

商談の最中に「プリウス」に心変わりすることも多いという
商談の最中に「プリウス」に心変わりすることも多いという

   国内新車登録市場は、2007年9月まで27ヶ月連続の前年割が続いた。その環境下、トヨタはすべての国内販売チャンネル(トヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店)が販売実績の前年超を目指す「J100活動」を2007年7月に開始。7月は新潟県中越沖地震の影響で新車の供給が間に合わずに目標は未達となったが、8月は全販売チャンネルに新型車が行き渡り、2年ぶりにトヨタブランドの全チャンネルが揃って前年超を達成した。

   国内市場の活性化に向けてトヨタは、2007年に新型車を相次いで市場投入した。その中でトヨペット店の販売ラインナップには、8月にハッチバック車「ブレイド」の追加車種で大排気量版の「ブレイドマスター」とカローラ店との併売SUV「ヴァンガード」、9月にマークXジオを加えた。

   これら3車種とも直列4気筒2.4LエンジンとV型6気筒3.5Lエンジンの搭載車を設定。販売台数のうち3.5L搭載車の比率は2割程度と2.4Lが大半を占めることを見込んでいたが、それでも3.5Lが大排気量・高出力エンジンに憧れていた50代、60代のユーザー層を販売店舗に呼び込み、受注が拡大することを期待していた。このため3.5Lエンジンの訴求には力を入れた。

   ところが実際には受注台数のうち3.5Lの比率は1割程度に止まっているという。ガソリン価格高騰、さらには食料品の値上げなどがユーザーの車選びに影響し、購入後の税金や保険料などの維持費を考えて、2.4Lを選ぶユーザーが多いというのだ。しかも3.5Lの購入が見込まれたユーザー層も、商談の最中に「プリウス」や「アルファードハイブリッド」に心変わりし、3.5L車の販売は伸び悩んでいる。

マークXジオの宣伝内容を大幅に変更

   トヨペット店の販売主力車種として新規投入したはずのマークXジオの受注実績も、目標は月販計画の3倍に設定していたが2倍に止まっている。新車投入時に発表される月販計画は車のモデルライフの平均月販台数。このため発売初期には月販計画を大きく超える販売量が見込まれているわけで、トヨタの目算は大きく狂った。販売するトヨペット店は2008年3月期の通期決算に不安を感じている状態だ。

   トヨタはエンジン生産計画での3.5L比率を引き下げ、2.4Lの比率を高めた。さらにマークXジオの宣伝内容を大幅に変更。トヨタが新型車の宣伝内容を発売後3ヶ月程度で変更したのは2代目「ヴィッツ」以来となる。販売戦略で早々と大排気量訴求の看板を下ろしたトヨタに対してトヨペット店は拍手を送り、マークXジオの受注拡大を期待している。

   一方で、2月にフルモデルチェンジが予定されている「クラウン」を扱うトヨタ店は悩み始めている。トヨタが大排気量エンジン搭載車の販売拡大を断念したことで、2.4Lと3.5Lエンジンを搭載した新型クラウンの販売も苦戦すると考えるトヨタ店がある。

   大排気量エンジン搭載車の販売に悩むのはトヨタだけではない。このため1月からのマークXジオの新宣伝内容の評価と実際の受注の動きを、トヨタ店だけでなく輸入車を含めて大排気量車を扱うさまざまな販売店が注目している。

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