豪州メディアと政府関係者も敏感な反応
一方、日本人と思われるユーザーからは「豪州政府にIQテストを実施する必要がある」「これは良くできた動画ですね。すばらしい。」といったコメントが書き込まれている。真面目な議論もあるが、なかには日本語、英語の罵詈雑言風のものも飛び交っている。
豪州では、日本の調査捕鯨に強硬に異議を唱えていた労働党が政権を取り、日本が行う調査捕鯨を監視させるために軍を出動させる可能性も豪州政府の閣僚などから公言されている。豪州で高まる「反捕鯨熱」もあって、まさに日豪サイバーバトルの様相を呈している。
この動画にことさら敏感に反応したのは豪州メディアと豪州政府関係者だ。
1月7日の豪デイリーテレグラフ(電子版)はユーチューブに掲載された動画を「オーストラリアの人種差別者と日本の捕鯨支持者」と題して報じ、
「豪州政府を脅して捕鯨反対の立場を変えさせられると考えるのは全くの間違いだ」
とする豪州政府スポークスマンのコメントを紹介。また同日の豪ABCニュース(Australian Broadcasting Corporation)は、「捕鯨推進者のビデオが"差別主義者"キャンペーンで攻撃」と題して、この動画を批判的に報じた。同局は、ディンゴ協会長の「我々は捕鯨はどんなことがあっても容認できない立場」「捕鯨推進者の都合のいいように(ディンゴ保護活動家がディンゴ虐殺を批判する)コメントが使われた」といったコメントを紹介。さらに、捕鯨反対の立場のスティーブン・スミス外相の
「このビデオで、我々の強固な捕鯨反対の立場が変わることはない。豪州政府は固い信念は変わらないし、豪州国民もまた、こんなもので尻込みすることはないと信じている」
というコメントまで紹介している。
たった1つの動画が豪州に与えた影響は小さくはないようだ。