災害で堤防が決壊した様子を収めた動画が人気
また、思わぬことがユーチューブ利用の後押しをした自治体もある。長野県北部の信濃町では、山間部という環境のため、つい最近までブロードバンドが使えず、ウェブサイトの運営も「本当は動画配信もやりたいが、今のところはテキストベースで」というのが方針だった。ところが、07年9月に、町の一部地域にNTTの「Bフレッツ」が開通し、動画サービスの導入を後押しした。実際にサービスが始まったのは07年10月24日で、05年に制作した「PRビデオ」のDVDに収録された映像や、「クリスマス会」「除雪機械出動式」といった地域のイベントを家庭用ビデオカメラで撮影したものが公開されている。やはり、同町の総務課でも、ユーチューブのメリットとしてコスト面を挙げ、
「大がかりな配信システムを組んだり、高価な撮影機材を用意するお金がない、という事情はあります。妙な言い方なのですが、ユーチューブは『雑な作りでも許してもらえる』というか、情報発信が堅苦しくない形で出来るのが利点だと思います」
と、率直な思いを話していた。
なお、同町が公開している動画で最もアクセスが多いのが、1995年の災害で堤防が決壊した様子を収めた動画で、すでに3万2000回以上再生されている。他の動画と比べると飛び抜けて多い再生回数だが、「たまたま役場に保存されていた」という災害現場のビデオを「災害を風化させるのも良くない」と、再編集してアップロードしたところ、ユーチューブのトップページにある「おすすめ動画」に取り上げられ、アクセスが急増したのだという。
もっとも、これは「例外」のようで、町民からの反応は
「ビックリするほど、ないんです」
とのこと。町内への広報が、今後の課題と言えそうだ。