2008年の経済動向のカギを握りそうなイベントは、まずは米大統領選、そして北京五輪。マイナス要因となりそうなことは、引き続きサブプライム問題といったところか。原油価格も高止まりしている。国内経済では改正建築基準法に伴う「官製不況」との声もあって、住宅着工の減少が気になる。こうした「要因」をどうみるか、で予測は変る。2007年の予測をはずしてしまっても、「仕切りなおし」。08年末を見据えて株価と為替を予測してもらった。
日本総合研究所の08年末の予想株価レンジは、1万5000-1万6500円
住宅着工の減少も懸念材料だ(写真はイメージ)
日本総合研究所の08年末の予想株価レンジは、1万5000-1万6500円。「サブプライム問題に伴う世界的な金融資本市場の不安定化、原油高、改正建築基準法ショックなどが当面の景気下押しに作用し、株価も年前半は調整色の強い展開。年央以降は下押し要因の一巡ないし後退により持ち直しに転じるも、景気は内需中心に引き続き力強さに欠け、株価回復も緩慢」と読む。
08年末の米ドル為替は、1ドル108円前後とみている。描いたシナリオはこうだ。円キャリー取引の縮小と米国の景気減速・利下げの継続を背景とした当面の円高ドル安傾向の持続、1ドル100円台前半では、日本の金融当局による円売り介入への警戒感が強まること、さらには春以降には信用不安の一巡、米利下げの打ち止め観測が浮上するにつれて、ドル安が一服する公算が強い。ただし、米利下げが展望できないことと、大統領選を控えた米政府のドル安容認、保護主義的な姿勢から、「ドル安値圏での推移が続く」と見通している。
サブプライム問題を「厳しめ」にみて、2007年の予測はほぼバッチリだった第一生命経済研究所の予測は、08年末に「1万3000円」と、株式市場はさらに低迷すると悲観的だ。もちろん、その原因はサブプライム問題。「サブプライム問題は市場に任せていても金融機関の追加損失の拡大に歯止めがかかりにくい。現状で米政府は貸し手保護対策に後ろ向きだが、これは日本のバブル崩壊時に、銀行や住専などへの救済策が後手に回ったのと同じ現象だ」と、不十分な対策が傷口を広げるとの見方だ。「08年後半には、遅ればせながらこれらの対策が打ち出されると期待する」としている。
為替レートは「1ドル103円」と、さらなる円高を予測。市場の混乱がしばらく続くことと、米利下げが続くこと、大統領選のいずれもが円高要因とみている。「1ドル100円を割るような局面では、当局が円売り介入することが想定されるので、100円割れは微妙だ」という。
08年は「1万9000円」に上昇だ! 富士通総研
「08年の株価は07年より、もっと上がる」と予測するのは、みずほ総合研究所だ。08年末には「1万7500円」と、07年末から2000円の上積みを見込んでいる。「年前半はサブプライム問題への懸念や日米景気の減速を受けて下振れリスクを伴った上値の重い展開になるだろうが、後半は米景気も徐々に持ち直す」とみていて、株価の戻り歩調を予測する。
一方、米ドル為替の水準は「1ドル113円」。07年とほぼ同水準とみている。「年前半は100円台半ばまで円高が進行する」とみているが、年後半には米景気の持ち直しに伴って、円安を予想する。
富士通総研は08年の予測も「攻め」の姿勢を崩していない。「日本株売りによる調整は2007年にほぼ終わったという感が強く、08年は相対的に割安になった日本株が買われやすい展開に変るのではないか」と、コメントは少々控えめだが、年末の株価水準を「1万9000円」と読んだ。
08年には、春闘賃上げもより明確になり、企業から家計への利益移転も徐々に進んでいくとし、「年後半には景気が最加速する可能性」が高まっていけば、株価もそれを先取りして上向いていくとみている。
為替予測は「115円」。年前半は米利下げ圧力が強いので円高ドル安になりやすい展開が続く。年後半にかけては、米景気が底打ちするという期待が高まれば、ややドル高方向に戻していく。そんなシナリオを描いた。
バラ色の展開を思っても、なかなか思いどおりにならないのが株や為替の世界。「期待込み」としても、株価が上がると気持ちも明るくなる。さて、どんな展開が待っているのか。
08年末の株価 | 08年末の為替 | 見通し | |
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日本総合研究所 | 1万5000円-1万6500円 | 108円前後 | 株価は横ばい、為替は円高 |
第一生命経済研究所 | 1万3000円程度 | 103円 | 株安、円高 | みずほ総合研究所 | 1万7500円 | 113円 | 株高、為替は横ばい | 富士通総研 | 1万9000円 | 115円 | 株高、為替は横ばい |