声優・藤田咲さんインタビュー(上)
「初音ミク」録音秘話 歌詞は「意味ないカタカナ羅列」

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   ユーザーが自作の歌を歌わせることができるパソコン用ソフト「初音ミク」。クリプトン・フューチャーメディアが開発し2007年8月29日に発売したところ、年間千本売れてヒットといわれるこの種のソフトに対し、わずか3ヶ月間で2万3千本を超えた。歌うバーチャルアイドルという存在になり、投稿動画サイト「ニコニコ動画」では1万曲もの「ミク」の曲が登場。「ミク」のフィギュアも売れに売れ、「ミク」の曲が作者の承諾無しに販売されたなど様々な騒動も起き、「ミク」の存在そのものが社会現象化した。そんな「ミク」の声を担当した声優の藤田咲さんにインタビューした。

「初音ミク」の声を担当した藤田咲さん
「初音ミク」の声を担当した藤田咲さん

――「初音ミク」が大人気ですけど、藤田さん自身は歌が好きなんですか?

藤田 歌を歌うのはすごく好きです。カラオケも行きますし、聞くのも好きです。特に好きなのはGARNET CROW。物語性があるとか、深みのある曲が好きですね。

――今までにレコーディングした曲は10曲ほどあると聞いています。

藤田 意外と多く歌わせていただいているのかもしれません。すごくありがたいことだと思っています。私が歌ったのはキャラクターソングなので、自分というより、キャラクターをどうやって引き出して歌に乗せればいいのか、を考えて頑張ってみました。気持ちを込めるとか、芝居とか、魂を吹き込むという作業は好きなので、だから(歌った曲全部が)全然違って(キャラクターを演じられていれば)いればいいな…と思って。

「歌詞は現場です」って言われました(笑い)。

――「初音ミク」のときはどうだったんですか?

藤田 収録は07年7月だったんですが、「歌を録ります」と聞いていました。でも、「歌詞は現場です」って言われました(笑い)。

――つまり、藤田さんの歌声は収録するけれど、それを組み立てて歌詞にするのはメーカーのクリプトンで、発売した後はユーザーが歌詞を作っていく、ということですね。

藤田 東京にあるスタジオに行きまして、歌詞だといただいたのは「意味のないカタカナの羅列」でした。ちゃんとメロディーもあって「流れてくる音に合わせて歌ってください」と収録が始まったんです。

――収録のときに、キャラクターのイメージはつかめていましたか。

藤田 収録時にはまだラフ画しかできてなかったんですが、そのラフ画と、クリプトンさんが前に作った「ボーカロイド」の作品に、「メイコ」さん、というのがあって、「メイコ」さんは歌手の方がご担当されていたわけですけれど、今回はもっとキャラクター的なものを作りたいというお話しでしたので、「清楚でカワイイ」というクリンプトンさんからのイメージを大切にしてキャラクターを表現しました。

――収録期間はどれくらいだったのですか?

藤田 2日間あって、3時間ずつだから6時間くらいですね。アニメでも、ゲームでもない新しい分野ですから、完成が楽しみでした。ソフトの完成間際にデモソングを聞かせてもらったときには、それはもう素晴らしい出来で、非常に驚きましたね。あぁ、ここまで科学は進歩したんだなと、素直にそう思えました。そして「初音」さんのキャラクター完成版を見せていただいたときには、「かわいい!!」と叫んでしまいました。

藤田咲(ふじたさき)プロフィール
1984年10月19日生まれ。東京出身。
主な出演作とキャラクター:TVアニメ「ときめきメモリアルOnly Love」弥生水奈。同「がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」小鳥桃葉。ドラマCD「ういういdays」倉持妙子。 「VOCALOID 2 キャラクター・ボーカル・シリーズ01初音ミク」。ラジオ「V-kingdom」マンスリーVプリンセス(OBC)ラジオなど。所属:アーツビジョン。

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