ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)
2008年以降も大きく伸びていく
ソブリン・ウェルス・ファンドとは、海外の株式等を運用するために国家が保有しているファンドのこと。現在、世界合計で300兆円ほどの資金がSWFにより運用されていると推測されている。これは世界のヘッジファンドの運用総額を凌駕する。このところサブプライム問題で打撃をうけたシティグループやUBSなどがSWFの出資を仰いだことで、俄然大きな注目を集めるようになった。中国やアラブの巨額な外貨準備を背景に、SWFは2008年以降も大きく伸びていくだろう。
最近、わが国でもSWFの設立を呼びかける動きが出てきた。いままで何も考えずに米国債ばかり買っていたのからすると一歩前進だが、国主導による投資事業がうまくいったためしがない。実際、現存する各国のSWFの投資利回りも一部を除きかなり悪いとみられる。たとえば、ブラックストーンの株価が中国政府のファンドの出資を受け入れた後に大きく下がるなど、アメリカの投資銀行に「してやられる」ケースが散見される。日本版SWFをつくるのであれば、世界トップクラスの運用能力を備えることがその条件となろう。