海外旅行の人気に陰りがみえてきた。JTBがまとめた旅行動向見通しによると、2007年の海外旅行者数は推計で1733万人となり、前年比1.1%減少した。1964年の海外旅行の自由化後に海外旅行者が前年を下回ったのは、1991年の湾岸戦争や2001年の米国同時多発テロ、03年のイラク戦争と重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行など5回しかない。それも戦争などの影響を受けてのもの。大きな理由もないのに減少したのは初めてといっていい。海外旅行はもう、飽きられてしまったのか。
お休みは「絶対に海外」という人は減ってきた
サミットの開催で北海道旅行が注目されている
2007年9月にグランドオープンした東京・丸の内、ザ・ペニンシュラ東京の年末・年始はすでに満室だ。「スイートも好評いただいて、もう予約はできない状況です」という。ふだんから、スイートを含め314ある客室は豪華な高級ホテルの雰囲気を満喫したい人から、国際会議に出席する丸の内や欧米のビジネスマンまで、幅広いニーズに応じているが、セレブ気分が味わえると評判で、週末ともなると国内やアジアから観光やレジャーを楽しもうと利用客が集まる。ホテルの料理やラウンジ、スパ&フィットネスなどを利用してのホテルライフを楽しむ人も少なくないという。
「開業したばかりで利用者の傾向はまだよくわかりませんが、団塊世代のご夫婦の方などはよく見かけますね」(ザ・ペニンシュラ東京の広報担当者)と話す。
ザ・ペニンシュラ東京に限らず、日本橋のマンダリンオリエンタルホテル、フォーシーズンズホテル丸の内、汐留のコンラッド東京など、続々誕生した高級ホテルはいまや女性のあいだで大人気。セレブ気分もあるが、夜遅くまで気がねなく、おしゃれに遊べる立地条件も人気の要因のひとつのよう。東京ディズニーリゾートのホテルパックが人気なのもこのあたりにあるようだ。
J-CASTニュースはJTBに、「海外旅行は飽きられているのか」聞いた。JTBによると、「飽きてしまったわけではないでしょうね。ただ、少し前のようにお休みは『絶対に海外』という人は減って、自分が行きたいところに行く、これがやりたいから行くといった意識に変わってきたようです。旅行マーケットが成熟してきたといえます」と分析する。安い価格だからそこへ行くというわけでもなく、たとえばリゾート地であれば、沖縄も、ハワイも、バリ島も同じように比べてみて、行きたいところへ行っているのだという。