コメント欄で振り返る2007年のJ-CASTニュース(下)
車や医療 業界専門知識持った「玄人」が活躍

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   J-CASTニュースのコメント欄で、大量のコメントが寄せられる例は、「嫌煙派vs喫煙派」というように、実世界での対立がウェブ上に持ち込まれることが多い。この場合、各陣営による「罵り合い」に発展することもしばしばだ。だが、それ以外にも、専門知識に長けた「玄人談義」が繰り広げられることも少なくない。

「ソニー信者」と「アンチソニー」が罵りあう

2007年のコメントランキングベスト10(12月26日現在)
2007年のコメントランキングベスト10(12月26日現在)

   5位にランクインした「『Xbox360』が『PS3』抜いた 有力ソフト離れが響く」も、「実社会のバトル」がコメント欄に持ち込まれた一例だ。記事の趣旨は「マイクロソフトの『Xbox360』の売り上げが、ソニーの『PS3』の売り上げを一時的に上回った」というものだったが、当初は記事の事実関係に誤りがあった(新型PS3では初代PSのソフトが使用できるところ「使用できない」と表記していた)ことから、コメント欄にはJ-CASTに対する非難が殺到、直後に事実関係については修正されるも、記事がPS3の今後の見通しについて悲観的な見方をしていたことから、「マイクロソフトからお金貰ってるんですか?」といったコメントが続いた。ところが、記事掲載から4時間ぐらい経つと、「ソニー信者うざいな」といった声が登場、当初はJ-CASTに向けられていた矛先がいつのまにかそれ、「ソニー信者」と「アンチソニー」とが罵りあう状態が続いた。

   もっとも、大量にコメントが付く記事のコメント欄で、必ずしも対立軸が生まれるという訳ではない。例えば、7位の「『日本人が犯人』に反発 銃乱射で日韓『掲示板バトル』」や10位の「『マンガ嫌韓流』新作 車内広告に修正要請」のコメント欄は、「嫌韓コメント」ほぼ一色に埋め尽くされた。

   また、当て逃げ被害者が、犯行の様子を収録した動画をユーチューブに公開し、ネット上で騒ぎになった件を報じた、「『当て逃げ』動画で大騒動 本人解雇、勤務先も謝罪」にも大量のコメントが付き、6位にランクイン。この事件は後に大手マスコミでも報じられ、注目されることになる。

   ただし、「特ダネ」であれば注目されてコメントが大量に付く、という訳ではなく、ネット上の騒ぎが記事化された際にはコメント欄がにぎわう、という傾向のようだ。

   また、惜しくもベスト10入りを逃したが、13位の「国内で車売れない危機打開策 トヨタ本気でアイデア募集」には、車種名が大量に登場するなど、自動車業界について素人の発言とは思えないコメントが数多く寄せられた。特に、その名も「玄人」というハンドルネームの人は、自動車業界について触れた記事では、豊富な業界知識を披露した。

「医療現場の声」を映す鏡にもなった

   自動車業界以外でも、医療現場からと見られるコメントが多く寄せられる例もあった。例えば、奈良県で妊婦が救急搬送を断られ続けた問題を取り上げた「なぜ産科医は患者を断るのか 出産費用踏み倒しに『置き去り』」という記事には、「元奈良県の内科医」と名乗る人が、こうコメントした。

「記事をよんで、ここ数日間の不快なメディア不信がすうっと消えていきました。この記事がいかに現場の雰囲気を伝えているか、救急や産科診療に関わった医療者であればよくわかると思います」

コメント欄が「現場の声」を映す鏡としての側面を持っていることが明らかになった形だ。

   また、続報の「奈良『産科たらい回し』報道 マスコミの異常『医療バッシング』」には、「通りすがりの内科医」と名乗る人から、こんな声も寄せられていた。

「僕は内科医ですが、内科救急もほぼ崩壊しています。時には4泊5日、100時間を越える連続勤務をしたりしていて、本当に命の危険を感じながら仕事をしていますが、同じように寝食をけずって働いている医師が謂れのないバッシングを受けているのを見ていると本当に心が折れそうになります。
前線から退く事を真剣に考えていますが、J-CASTさんの記事を見て少しだけ気分が楽になりました。もう少しだけ患者さんのために頑張ってみたいと思います。
ありがとう」
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