NTTドコモが新たに投入した携帯電話「905iシリーズ」が絶好調だ。前シリーズの機種に比べ6割増の売れ行きで、すでに100万台以上が販売された。「一人負け」の辛酸をなめてきたドコモが、12月の契約数でライバルKDDIを抜く可能性が強いと見られている。
「新機種バカ売れでやばい」
NTTドコモの「905i」シリーズが絶好調だ
電気通信事業者協会(TCA)が2007年12月7日に発表した07年11月の携帯電話契約数によれば、ドコモの新規契約から解約を差し引いた契約純増数は前月比23.3%増の4万8200件だった。一方、ドコモのライバルと目されるKDDI(au、ツーカー合計)は同51.1%減の6万5400件。ソフトバンクモバイルは純増数19万1600件で首位を守ったが、注目すべきなのはドコモとKDDIの「急接近」だ。
「新機種バカ売れでやばい」――あるドコモの販売店担当者は「905iシリーズ」の売れ行きをこのように漏らした。一部店舗では行列ができるほどの盛況ぶりで、急きょ12月最初の週末に出勤を余儀なくされる同社社員もいたようだ。
ドコモは2007年11月26日から「905iシリーズ」7機種を順次投入。「WORLD WING」や「FOMAハイスピード(HSDPA)」、「ワンセグ」、「GPS」などの最新機能をほぼ"標準装備"するなど携帯電話端末の機能を充実させた。同社によれば、D(三菱電機製)、F(富士通製)、N(NEC製)、P(松下電器製)、SH(シャープ製)5機種で比較すると、前シリーズ「904」に比べて、発売2週間で「905シリーズは1.6倍」(広報担当者)の販売状況という。好調は家電量販店でも同様で、ビックカメラ広報は、
「かなり好調。ワンセグ、ハイスピードなど特徴のある機能が905はそろっているので全般的にどの機種も売れている」
と話す
さらにドコモは新料金プランを「905iシリーズ」発売と同時に導入。この新料金プラン「バリューコース」は、905iシリーズ以降に発売される携帯電話機を従来のプランに比べて月額基本使用料を割安にし、携帯電話機代を割賦方式で支払うというもので、これが消費者にウケた。
3週間弱で100万台以上売れた?
2007年12月17日の同社の発表によれば、「バリュープラン」の契約数は12月5日時点で50万件を突破、12月16日時点では100万件を超えた。同社によれば、「905iシリーズ」購入者の9割以上がこの「バリュープラン」を選択しているという
同社広報はJ-CASTニュースに対し、
「料金プランの透明性や、頭金0円、分割払い方式で最新機種が購入できるという『お手ごろ』感で、このような成果が出てきたのだと思う」
と「好調」の理由を説明している。現段階では「905iシリーズ」の購入時のみに適用される「バリュープラン」なのだから、単純に計算しても3週間弱の期間で100万台以上の新機種を売り出したことになるのだ。
一方、KDDIはau携帯電話の「フルサポートプラン」をドコモに先駆けて導入したが、従来の料金プランをほぼ踏襲するもので、あらたに携帯電話端末を購入する際に割安になるというメリットはあるものの、相変わらず「分かりにくい」といった指摘もある。さらに、KDDIの新端末の投入が遅れていることから、07年12月の純増数は、年末商戦に合わせて「905シリーズ」を投入し、成功したドコモに軍配が上がる公算が高い。その「兆し」がすでに11月の契約純増数にも如実に表れていた、というわけだ。
さらに、中村維夫社長が米アップル社スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)と会談し、ドコモがアップル社の新しい携帯電話端末「iPhone」を導入する可能性が高いと各紙に報じられたほか、2007年12月25日には検索エンジン世界最大手グーグル(Google)と提携して同社の電子メール技術などをドコモ携帯電話に取り入れるといった話も浮上している。グーグルとの提携報道について、ドコモ広報は「発表したことでなく、何も決まっていない」とコメントを拒んでいるが、ドコモが「反撃」を仕掛け始めているのは確実な情勢と言えそうだ。