小栗旬「オレは許せない」 「KY」現象に批判噴出

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   「KY」という言葉がメディアでも頻繁に使われている昨今だが、一方で「KY」という言葉に批判的な意見も噴出している。人気俳優・小栗旬さん(25)が「KYって言葉、オレは許せない」と述べるなど、「KY」への風当たりは強い。

2ちゃんねるでも「見直した」といった書き込みが相次ぐ

小栗旬さんは「KYって言葉、オレは許せない」と毎日新聞に対して述べた
小栗旬さんは「KYって言葉、オレは許せない」と毎日新聞に対して述べた

   「KY」とは、「現代用語の基礎知識2007」(自由国民社)によれば「空気を読め」の略。メディアなどではもっぱら「空気が読めない」の略として使われている。最近の例では、朝青龍が春日野部屋に「アポなし」で出げいこに言ったことが「KY」、年金記録不備問題の全面解決が困難な状況になっていることについて福田康夫首相が「公約違反という大げさなものでない」と発言したことが「KY」、といった具合にスポーツ紙などに評されている。

   安倍前首相が、参院選での自民党「大敗」の後に辞任せずに、所信表明演説後の2007年9月12日に突然辞任表明したことについても、メディアによる「KY」報道が過熱したことは記憶に新しい。その後、様々な場面で「KY」が頻発されるようになった。

   この「KY」現象にあわせるように、毎日新聞では「'07年顔 空気読んだ?」というインタビュー記事の特集が組まれている。2007年12月26日のこの特集には、人気俳優・小栗旬さんが登場。07年にテレビや映画、舞台での活躍ぶりに言及された後に、

「KY(空気読め)って言葉、オレは許せない。どこまで知的レベルを落とせばいいんだ、この国は、って思います。オレだって勉強ダメですけど、でも自分の中に良い悪いの基準はちゃんとつくっているつもりだから」

という小栗さんの言葉が紹介されている。

   この発言はインターネット上の巨大掲示板2ちゃんねるを中心に大きな反響を呼んでおり、「小栗よく言った!」「見直した」といった賛意を示すような書き込みが相次いでいる。どうやら、「KY」という言葉がメディアで頻繁に使われることに違和感を感じていた人が実は多かったようなのだ。

「極端から極端へと民意が振れ、民度がかつてなく低下しています」

   社会学者の宮台真司さんは2007年12月22日のブログで、社会の「共通前提」が崩壊してしまった現状で、「ノリ」によって擬似的な共通前提を作り出さないとコミュニケーションが進められない状態だと分析し、「空気」を壊すことへの「異常な忌避」が生まれたと指摘。

「昨今の『KY問題』が突きつけているのは、共通前提の崩壊がもたらした過剰不安と、不安の埋め合せへの過剰要求です。それらのせいで截然とした二元論が要求されがちです。その結果、極端から極端へと民意が振れます。その意味で民度がかつてなく低下しています」

と、「民意の低下」やメディアが「KY」を利用している現状を批判している。
   上武大学大学院教授でブロガーとしても知られる池田信夫さんは07年12月23日に自身のブログで、宮台真司さんのこの指摘に賛意を示しつつ、

「日本のメディアは空気によって党派がわかれ、慰安婦でも沖縄でも、初めに結論ありきで、歴史的事実におかまいなしに、朝日=岩波ムラと産経=文春ムラにわかれて罵倒の応酬が続き、論理的な論争が成立しない。たとえば『諸君!』に執筆すると、文春ムラに入ったとみなされ、そっち系の雑誌からばかり注文が来るようになる」

とメディアの「空気を読む」姿勢について批判を展開している。

   小栗旬さんの「KYって言葉が許せない」「どこまで知的レベルを落とせばいいんだ、この国は」という発言とどこまで共通性があるのかは分からないが、少なくともメディアが「KY」を頻発する現象に違和感を覚える人が多くいるのは確かなようだ。

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