自動車評論家は「今回は法的な問題はない」
ドアロック解除の安全性のことを聞くと、副隊長は「だからどうだと言われても、答えようがありません。そうした議論は、この事故の件に直接関係がないからです。今回のバスについては、自動であれば運転席でしかドアを開閉できないということです。車によって違うため、ほかのバスについてのことは分かりません」と答えた。
トラックの男性については、「制限速度を守って、前方を注意していれば、ひくことがなかった可能性が強いということです」と説明した。
各紙によると、バスもトラックも制限速度40キロを大幅に上回る70、80キロ程度でそれぞれ走っていたという。
以上のような埼玉県警の見方は、妥当性があるのか。車の安全に詳しい自動車評論家の岡崎五朗氏にJ-CASTニュースが聞いた。まず転落したことについては、岡崎氏は、「バスが揺れて、子どもがレバーに当たってしまったのかもしれない」と推測した。
一方、県警がコーチやトラックの男性を逮捕したことについては、「おかしいと思います」と疑問を呈した。岡崎氏は、ドアロックすべきかどうかは、窓がたくさんあるかどうかなどケースバイケースとしながらも、次のように理由を述べた。
「外からの救出の点から見ると、ロックしない方がいいんです。むしろ手動であったかロックしたかは2次的な問題であって、座席ではシートベルトをさせておくべきだったと思います。車の走行中は、シートベルトを外してボールを取りに行かせてはいけません。これは基本中の基本です。しかし、道路交通法が改正されて、後部座席でのシートベルト着用が義務化されるのは来年からになるので、今回は法的な問題はないことになります。座席でシートベルトをしていれば、たとえドアが開いたとしても問題は起きません」
トラックの男性については、岡崎氏は「道路には交通の流れがあり、高速道路でいきなり人が落ちてくれば、安全に避けることは難しい」と話した。
転落事故を起こしたマイクロバスは、トヨタ自動車製だ。そこで、トヨタ広報部に、運転中はドアを自動にすべきかどうか聞いてみた。すると、答えはこうだった。
「取り扱い説明書や販売時の説明では、ドアの自動や手動の使い方に触れますが、走行中にどちらにすべきとは申し上げていません。使われる場合によって違いますので、その都度お客様の判断で選ぶのが適当だと考えています」