東芝は新製品投入で巻き返し図る
ここまでくると、シャープを除くBD陣営は着実に年末商戦に合わせて商品を投入し、シェア拡大に成功したかに見える。しかし、今後もBD陣営が90%以上のシェアを維持しつづけるのかというと、話は違ってくるようだ。
「BDが底をついて、年末の販売状況は何ともいえなくなってきている」 と指摘するのはBCNの田中繁廣取締役だ。
「まだ東芝の年末商戦モデルが発売されていなかったので(BD98%のシェアは)11月末の構図。東芝の新商品の立ち上がりでシェアは拡大するだろう。しかも、BDは年内に出荷できない状況。BD陣営3社に対し、HD DVDは1社という構図は変わらないが、全体のシェアは動く可能性がある。非常に予測しにくい状況だ」
一方、東芝は
「(HD DVD陣営が)劣勢と指摘されているのは分かっているが、巻き返すためにも新製品投入でシェアの幅を広げたい」(広報担当者)
としている。
家電量販店ではBDレコーダーの多くに品切れの札が貼られるのに対し、HD DVDレコーダーの新製品は在庫がある状態。東芝広報は「BDが売り切れたから、HD DVD買うということになるのか分からないが、HD DVDの機能や信用性で選んでいただければ」と話す。しかし、BDレコーダーを手にできない消費者にHD DVDをアピールする大きなチャンスであることは間違いない。さらに、東芝は08年はじめにもHD DVDレコーダーの新製品2機種を新たに投入する見通しだ。
DVD・HDDレコーダー全体に占める次世代DVDの販売台数シェアは07年11の時点で20%(BCN調べ)。07年9月の時点で1.8%だったことを考えれば、この市場も本格的成長の時期にきている。年末商戦から08年にかけては両陣営にとって正念場だ。