ヒーリングで若い女性勧誘 霊感商法詐欺の背景にテレビ

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全国で数千人、100億円規模の被害?

   コースは、20分3000円、30分5000円と、手ごろな価格設定だ。弁護団によると、最初は店のスタッフが目をつぶらせたり、手かざしをしたりする。ところが、次第に、病気や人間関係の悩みを聞きだして、「体の中に毒素がある」などと不安をあおるようになる。そして、「健康、先祖のため」などとして、1万500円の「神書」、10万5000円の「楽」と書いた額を売るなどと、物品販売をエスカレートさせていくという。弁護団によると、2005年から被害の相談があり、一人で数百万円、多い人で1千万円の被害額を越える人もいる。その結果、現在まで全国で、なんと数千人、100億円規模の被害が出ているという。

   弁護団の紀藤正樹弁護士は、20日の会見で、この2、3年だけで被害が急速に拡大した理由について、次のように強調した。

「スピリチュアルブームが広がったため、霊感へのハードルが低くなりました。非常に問題が大きいと考えています」

   弁護団では、ブームの影響について、「人間は防御本能を持っており、普通ならうさん臭いと踏みとどまる。が、ヒーリング番組やブームの影響で、客観的根拠がないことに対しても防御本能がなくなって引っかかりやすくなっている」と指摘。「そうでなければ、これだけの被害にならなかった。根拠のない番組は、防御本能を阻害する」と憤った。

   弁護団が霊感商法に関して「スピリチュアル・霊感被害110番」を12月4日に開設したところ、「神世界」の相談が一番多かったという。紀藤弁護士は会見で、「3月1日にテレビ局などに対し改善を求める要望書を提出しましたが、それ以降もスピリチュアル番組は減ることがなく増え続けています」とその対応を批判した。

   なお、この事件では、神奈川県警の警備課長(51)や警察署警備担当次長(47)が、赤坂のサロンの名義人や連帯保証人になっていることが明るみに出た。弁護団は、このことについて、「最初疑いの目を持っていたものの、『警察の偉い人もいるんだよ』と言われ、実際に会ってだまされた人もいると聞いています」と明かした。また、「『会社の裏に警察がおり、権力を持っている』と被害者に恐怖心を植えつけていた」と指摘した。弁護団では、「神世界」側が警察官を狙い撃ちにしていたのではないかとみており、警察までが詐欺に利用された形だ。

   事件に関し、J-CASTニュースでは12月20日、関連会社の一つを通じて、「神世界」側に取材しようとした。電話に出た女性は、「窓口が決まっており、後ほど連絡します」と答えた。しかし、この日午後に家宅捜索が始まったためか、その後連絡はなかった。

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