トヨタ自動車が不振の国内販売のてこ入れに取り組んでいる。2007年12月1、2日に東京・お台場で過去最大規模の試乗会を開催したのに続き、同5日には首都圏で初の大型商業施設を横浜市に開業した。トヨタは海外販売が好調で、世界販売台数で首位を狙うが、足元の国内市場は依然厳しく、新たな販売戦略を繰り出し、需要の掘り起こしに懸命だ。
新車効果が一巡すれば、再びマイナスに陥りかねない
07年新車の2台に1台はトヨタだ
今年のトヨタの国内の新車販売台数は8、10、11月が前年同月比でプラス。他社が軒並み落ち込む中、トヨタはシェアを伸ばし、10月には初の50%を突破し、11月も50%台を維持した。新車の2台に1台はトヨタという勘定で、トヨタの「一人勝ち」に見える。
だが、トヨタが夏以降、新車販売で増加基調に転じたのは、「ヴォクシー」「ノア」「カローラ ルミオン」など新型車をほぼ切れ目なく投入したからだ。新車効果が一巡すれば、再びマイナスに陥りかねず、トヨタは現状を楽観視していない。むしろ先行きを慎重に見ているからこそ、市場活性化策を相次いで打っている。
お台場での試乗会は新型車を中心に74台を提供した。レーサーの車に同乗するスリリングな走行体験からペーパードライバー向けの簡単な試乗まで幅広い層に車の魅力をアピールした。車離れが指摘される若者を念頭に、車内での足裏マッサージや音楽鑑賞のコーナーも設けた。トヨタの一丸陽一郎専務(国内営業担当)は「新型車だけではなく、いろいろな工夫が必要だ」と、試乗会の全国展開を検討していることを明らかにした。
また、トヨタが横浜に開業した大型商業施設「トレッサ横浜」は地上6階建てで店舗面積6万平方メートルの巨艦。トヨタの物流拠点を再開発したものだ。グループの販売店(子会社のダイハツ工業も含む)が勢ぞろいし、高級車から軽自動車まで多様な車種を1か所で選べる利便性が売り物だ。