コスト削減が背景との報道は否定
FC店での偽装については、背景に日本マクドナルドの原田泳幸社長による急激な改革があると指摘する報道が出ている。
04年2月にアップルコンピュータ日本法人社長から転じた原田社長は、創業者の故藤田田元社長が進めてきた直営店中心の経営からFC店中心の経営にハンドルを切ってきた。そして、FC店を現在の3割から数年後には7割にまで増やす方針さえ明らかにしている。しかし、「週刊東洋経済」12月15日号によると、経営転換は人件費などのコスト削減のためで、それによって、FC店が経営的に苦境に立っているという。原田社長の方針によるクーポン券の乱発や、粗利益でなく売り上げからのロイヤルティ(権利金)徴収、増収策としての24時間営業拡大のためだ。改革の中で、FC店のオーナー約100人がビジネスから撤退した。
新聞各紙でも、偽装のあった東京都内のFC店社員が「コスト面でのプレッシャーを感じていた。(サラダなどを処分するのが)もったいなかった」と話した、と報道している。
一方、日本マクドナルドでは、こうした見方に否定的だ。広報担当者は、「フランチャイズのビジネスモデルに問題があるとは認識していません。コスト削減は否定しませんが、FC店拡大は、改装や投資がやりやすいように規模を大きくするのが主な理由です。FC店全体のキャッシュフローも伸びています。(偽装は)心の問題などがあったと考えており、従業員トレーニングの徹底など一から見直しています」と説明した。
ただ、もし直営店にも偽装があるのだとすると、会社自体の体質に問題があることになる。
日本マクドナルドは、原田社長が就任してから、業績がV字回復。07年11月の売り上げは、前年同月比9.7%増で、なんと22か月連続で前年水準を上回っている。業績拡大のため、無理なコスト削減策に走っていることはないのだろうか。このことについて、同社の広報担当者は、
「全体的な観点から、投資すべきところは投資、無駄を省くところは省くバランスの取れた経営をしているだけです。また、(偽装が)ないように、社内でメッセージを出したり、トレーニングを進めたりしています」
と話している。