自民党が次期衆院選に向けて候補者選びを進めるなか、「タイゾー君」こと杉村太蔵衆院議員(28)が、「誰がなんと言おうと、必ず北海道1区から出馬する」と、党の公認の有無にかかわらず、小選挙区での出馬を「強行」することを明言した。北海道1区での自民党公認をめぐっては、北海道連が予備選挙を予定していることを「いくら年が若いからと言ってね、私は現職ですよ!」と色をなして批判。ただ、現職が優先される理由は「大臣に会えるから」だという独自の見解を披露してもいた。
北海道1区の自民党公認枠を新人と争う
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自民党の選挙対策委員会は2007年12月11日、次期総選挙での候補者の公認基準を決定。 05年の郵政選挙で「小泉チルドレン」を大量当選させる要因になった、比例区名簿での優遇措置は原則廃止することになった。古賀誠委員長は
「純粋比例は、極力絞り込む。できればゼロにしたいくらい。比例区のみの候補者はできるだけ立てない」
と、小選挙区で勝てる候補を優先する方針を強調した。
その「とばっちり」を受ける形の「小泉チルドレン」の中で特に反発を強めているのが、タイゾー議員だ。タイゾー議員は、北海道1区の自民党公認枠をYOSAKOIソーラン祭り創始者の会社役員、長谷川岳氏(36)と争っている。道連は12月2日、候補者選考委員会幹事会を開き、両氏は最終面接に臨むも結論が出ず、12月7日になって道連は「党員意向調査」を行うことを決定、事実上の「予備選挙」に踏み切るという異例の決断だ。
現職の国会議員が、新人と同じ「土俵」に登らされた形になった上に、「小泉チルドレン冷遇」とも取れる選対の決定に、タイゾー議員がいらだちを吐露した。
07年12月11日、国会内で、声を荒げながら
「公認するかしないかというのは、党の判断ですよ。ただね、選挙に出馬するかしないかは私の判断ですよ」
と述べ、「次の選挙には出馬されますか」という記者の質問には、
「私は、次期総選挙は誰がなんと言おうと、必ず北海道1区から出馬します」
と断言。さらに、
「公認したかったら、したらいいじゃないですか。公認したくなかったら…。(3秒の沈黙)
しなきゃいいじゃないですか!」
と、選対への怒りをぶつけた。
大臣に会えることが現職の強みという変な理屈
さらに、道連については
「私が当該支部長になれば必ずお役に立てる」
と、小選挙区での勝利に意欲を示す一方、
「現職同士の争いであれば、今言われている、予備選挙というのもわかりますよ。いくら年が若いからと言ってね、私は現職ですよ!」
と、予備選挙を決断した道連に矛先を向けた。「現職を重視すべき」という主張自体は、一般的にあり得る話だが、その理由としてタイゾー議員が展開した理屈が独特なのだ。
「現職の強みというのは、財務大臣に会おうと思えば会えるんですよ。国土交通大臣に会おうと思えば会える。局長に来てくださいと言えば来るんです。内閣総理大臣だって、4人5人まとまっていけば、直接会って地元の強い要望を伝えることができるんですよ。これが代議士でしょ?」
言ってしまえば、「閣僚に会えることが国会議員であることの意義だ」という論理展開なのだが、タイゾー議員からは、自分が現職であることによって実現できた政策をアピールする言葉はなかった。
道連は年内にも公認候補者を決定したい考えだが、仮に自民党の公認を得られたとしても、北海道1区は、北海道知事を3期務めた民主党(旧日本社会党)のベテラン・横路孝弘衆院議員の地盤で、厳しい状況だ。