忘年会シーズンに突入したが、最近は温泉などに泊りがけで出かけて開く「1泊忘年会」が盛んだそうだ。帰りの時間を気にせずにじっくり飲めて、しかも温泉で癒される、というのが好評な理由。職場の社員旅行も「復活」しつつあることもあり、若い人にも抵抗なく受け入れられているようだ。
夕方仕事を切り上げ、1、 2時間でいける温泉地が「条件」
新幹線利用の「1泊忘年会」も多い
群馬県の伊香保グランドホテルは「週末、高速道を使ってくる団体客やグループが多いですね。東京、新宿からは伊香保までの直通バスがあって、それを利用する方もいます」という。忘年会を兼ねた慰安旅行で、「リピーターも多く、利用は増えています」と話す。
新潟県越後湯沢は新幹線で約1時間。湯沢グランドホテルは「忘年会の利用は東京からと、地元の方の利用も多いです」とし、2006年と比べて地元の利用が増加したという。
大手旅行会社のジェイティービー(JTB)は「1泊忘年会」について、「社員旅行が復活傾向にあって、そこでの宴会はつきもの。社員旅行の楽しみとして忘年会がセットされていることはあるでしょう」(広報室)と話し、「(1泊忘年会が)増えているようにと思う」としている。
夕方5時に仕事を切り上げ、1時間から2時間ほどで出かけられる温泉地が「条件」。出発は金曜日が多く、条件にあてはまる東京からの温泉地は熱海(静岡県)や箱根(神奈川県)、伊香保(群馬県)や鬼怒川(栃木県)あたりになる。
ちなみに、前出の湯沢グランドホテルは12月14日と同21日の金曜日の忘年会プランはすでに満室。熱海市の旅館組合も、詳しいデータはないが「宿泊客は増えていますし、金曜の夜の利用は多いです」と話している。
国内外の旅行を企画するエイチ・アイ・エス(HIS)は、最近の傾向として、日帰りバスツアーの利用にも若者やサラリーマンの、小人数グループでの参加が増えているという。「ご当地の食事を楽しみ、お酒を味わいたい、ゆっくり酔いたいといった方が増えているようです」(国内営業課)という。
マイカー通勤の多い地方では「1泊忘年会」が増える背景に、飲酒運転の厳罰化があるとの見方もある。
ホテルに1泊。翌日ディズニーランドも
会社の近くで忘年会を開き、都心のホテルに1泊。こんなケースも少なくない。HISは東京都内や横浜、舞浜(千葉県)などで1泊3000円程度から泊まれるホテルを案内している。学生の利用を中心に狙っているが、会社の仲間や女性のグループも利用できる。たとえば舞浜周辺のホテルであれば、会社での忘年会のあとに希望者だけが宿泊し、翌日にディズニーランドで遊んで帰るということも。
JTBによると、都内の高級ホテルやターミナルのグレードの高いホテルでの忘年会も増えていて、「ホテルでの忘年会は基本的には泊まりなしのパターンが多いですが、希望者にはオプションで宿泊がついていて、翌日遊びに出かけたりすることもあるようです」と話す。ホテル・プランは、社員の多様なニーズに応えるプランでもあるようだ。
2007年の忘年会やクリスマス・パーティーは、今週から来週末にピークを迎える。